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震災から2年、私はいまもあの日の夢をみる。それでも、被災者とは言えない。

4/15(日) 7:11配信

BuzzFeed Japan

2度にわたって震度7の地震に襲われた、熊本。震災から2年が経ち、中心部の街並みは元どおりになったようにも見える。それでも、熊本城の天守閣は痛々しい姿をしているし、線路や道路が不通の場所もある。仮設住宅に身を寄せる人たちも、3万8千人いる。そして、あの揺れを経験した人たちの心だって、元どおりにはなっていない。傷は深いままなのだ。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

「あの揺れの感覚を、はっきりと体感してしまったんです。ダメだ、家が崩れる、死ぬんだって……」

熊本市に住む40代の女性は、この3月になってはじめて、地震の夢を見た。

「3度目を食らってしまったような感じ。それほど、リアリティがありました。目が覚めても、夢だったのか、本当に揺れたのか境界線があいまい過ぎて、戸惑ったほどです」

2年前のあの日は、両親とともに暮らす実家にいた。一番揺れが激しかった益城町に隣接するエリアだ。

1度目の前震も、2度目の本震も、ちょうどベッドにいたときに起きている。夢はまったく同じシチュエーションだった。

「これまでも公園に避難したときのこととか、直後の喧騒みたいなものを断片的に見ることはあったんですけれど、地震そのものの夢を、あれほど鮮明に見たことはなかった」

「この季節がくると、あのときの肌感覚みたいなものを、すごく思い出すんです。まちの中でも、復興という言葉が、流れ始めてきている。そういうので、あのときに引き戻されてしまったのかな」

叫び声をあげて、パッと目が覚めた。

「もう忘れている、と思ったのに。まだこんな風に震災に囚われないといけないんですよね」

もう、震災前には戻れない

女性には、心的外傷後ストレス障害(PTSD)とみられる症状も出ている。

そもそもPTSDとは、生命の危険や死の恐怖を体験した人たちが発症する精神障害だ。フラッシュバックや不眠、過敏症状などの症状がある。

事件や事故、災害に直面した人に出やすいものだ。PTSDの発症率は、自然災害が約4~60%なのに対して、人為災害では15~75%と比較的高いという先行研究がある。

女性は言う。

「震災後、物音やテレビの速報音に以前より敏感になったんです。動悸と一緒に、あの瞬間の光景や感覚が蘇る。体にもぎゅっと、力が入ってしまうようになりました」

風が吹き荒れたときに窓が揺れる「ガタガタ」という音でも、一瞬にして当時の恐怖に引き戻されるという。

震災にあった自分の部屋に、ひとりでいるのが怖くもなった。テレビをつけっぱなしにしないと、寝られなくなってしまった。

「もう昔の自分は取り戻せないんですよね。震災前に戻ることはできない、忘れるということはできないんだなと思っています。受け入れるしか、進む方法はないのかな」

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最終更新:4/15(日) 10:34
BuzzFeed Japan