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脳転移のがんに光明 最新治療で変わるイメージ

4/15(日) 17:04配信

時事通信

 体内で増殖したがん細胞が、血液やリンパ液に混じって体内の別の臓器にも腫瘍を作ってしまうのが遠隔転移=用語説明(1)=だ。大半では「完治は望めない」と判断されることが多く、「がんと告知されたとき以上のショックを受けた」と話す患者や家族も少なくない。しかし、治療法の進歩はめざましい。中でも、治療の難しい脳への転移があっても5年を超える生存を期待できるようになった。専門医からは「『遠隔転移』イコール『速やかな死』という認識は時代遅れとなりつつある」という声も聞かれる。

ガンマナイフの効用強調

 最新のガンマナイフ=用語説明(2)=を使って腫瘍部分に限定して放射線を照射すれば、脳転移を起こした腫瘍でも十分な治療効果がある。しかも、これまでの治療法よりも事前の準備時間も短く、症状が悪化する前に治療が開始できる―。米国でも有数のがん治療の拠点である「ロズウェルパークがんセンター」(ニューヨーク州)ガンマナイフセンター長のディレンドラ・プラサード医師は訪日した東京都内で、集まった記者を相手にこう力説した。
 ガンマナイフを使えば、磁気共鳴画像装置(MRI)などのデータを基に患部に照射を集束させることで、他の脳細胞へのダメージを最小限に抑えることができる。この結果、これまで一般的に行われてきた脳全体への放射線照射に比べて、脳の萎縮や認知機能障害などの副作用を大きく軽減できる、とプラサード医師は強調した。

56%が肺腺がん

 脳に転移した腫瘍の治療に関心が集まる背景には、近年の治療技術や分子標的薬に代表される抗がん剤の進歩で、がんの種類に応じたよりきめ細かい治療が、特に肺がんの領域で大きく進んだことがある。日本脳神経外科学会などによると、脳転移が生じるのは全がん患者の約10%で、うち51.9%が肺にできたがんからの転移だ。次いで、乳がん9.3%、直腸がん5.7%、腎・ぼうこうがん5.3%などとなっている。脳転移した腫瘍の多くは、肺がんの性質を持つことになる。
 「肺がんにも幾つか種類があるが、日本では脳転移した肺がんの56%が肺腺がん=用語説明(3)=と圧倒的に多く、他の種類の肺がんの脳転移に比べて小さい腫瘍が複数、脳内で発見されるケースが多い」。東京大学医学部付属病院(東京都文京区)放射線治療部門長の中川恵一准教授は、肺腺がんの特徴をこう説明する。
 以前は脳転移の有効な治療法はなく、脳全体に放射線照射(全脳照射)をしても多くの患者の余命は3カ月前後だった。日本肺癌(がん)学会は副作用も大きいことから、2017年版のガイドラインで脳転移が起きた患者に対して手術やガンマナイフなどの治療をした場合、全脳照射の併用は「行わないことを勧める」としているほどだ。

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最終更新:4/15(日) 17:04
時事通信