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「お客さんがいる限り続ける」 踏ん張る青森・八戸の老舗銭湯「三島湯」

4/15(日) 11:37配信

デーリー東北新聞社

 朝市や横丁などと並んで青森県八戸市の観光の目玉として定着している銭湯だが、この10年間で25軒が休廃業に追い込まれた。新設された銭湯もあるが、青森県によると、法律で定める「一般公衆浴場」の数は同市内で2007年に50軒に上ったが、今年3月現在で29軒に減少。経営者の高齢化や後継者不足、燃料代の高騰など取り巻く環境は厳しさを増している。そんな中、創業91年を迎え、“銭湯の街・八戸”最古の老舗銭湯が、常連客や銭湯ファンのためにと踏ん張りを見せている。

 同市白銀1丁目にある「三島湯」。1927(昭和2)年創業の市内に現存する最も古い公衆浴場だ。

 建物や浴槽、脱衣所は一部手を加えたものの、ほぼ当時のまま。浴室の壁には金閣寺や松島のタイル絵が描かれ、毎晩磨く脱衣所の床板はピカピカだ。

 「古いだけが取りえ。体が丈夫だから続けてるのよ」。こう笑って話すのは店主の松橋美雪さん(82)。91歳で亡くなった、しゅうとのリヱさんが守ってきた番台を引き継ぎ、約15年にわたって掃除やボイラーの手入れなど、一切の業務を1人でこなしている。

 三島湯の売りは、地下水を湧かしたお湯だ。常連客は湯冷めしにくいと太鼓判を押す。うわさを呼んで、近年は全国から温泉・銭湯ファンも姿を見せるようになったが、経営は厳しい。

 白銀地区は高齢化が進み、周辺は空き家が増加。常連客は10人に満たない。松橋さんは「東京に住んでいる娘には、早くやめてこっちに来いって言われている」というが、今更都会暮らしは嫌だ―と苦笑いする。

 「ここがなくなったら? 困るに決まってるよ」と話す常連の松川昭夫さん(86)。3歳から三島湯に通い、最近は足が不自由な5歳下の妻を週1度、連れてくる。女湯に人がいなければ、背中を流しに行く。今時そんなことができる場所は、他にはない。「俺たちにはここしかないんだ」

 「三島湯が3月いっぱいで閉めるらしい」

 今年に入り、インターネット上でこんなうわさが、にわかに流れた。千葉県から訪れた温泉ファンの50代男性は「ネットで調べてきた。とにかくやめないで残してほしい」と話す。

 青森県内の温泉に詳しい、青森市の居酒屋「湯酒屋 八九郎」を経営する“温泉ソムリエ”の手塚勝二さん(50)は「素晴らしい湯使いときれいに磨かれたタイルや床板。何をとっても遺産級の銭湯だと思う」と絶賛する。

 現在、営業日は週4日で昼間は別の仕事もしている松橋さん。後継者はいない。「いつ閉めてもいい」と本音も漏らす。でも「お客さんがいる限りは続けたい。愛着もあるしね」。体が動く限り、店を磨き続ける。

デーリー東北新聞社