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人口減少日本でほんの一握り、流入続く江東区 対応手探り新マンション規制

4/17(火) 10:30配信

THE PAGE

 1920年に初めて国勢調査が実施されてから、間もなく100年を迎えようとしています。2015年に実施された直近の第20回国勢調査では、右肩上がりを続けてきた日本の総人口が初めて減少に転じました。総務省統計局が発表した日本の総人口は、約1億2709万5000人。前回の2010年調査より0.8パーセント、約96万3000人の減少です。人口減少が言われ続けていた日本ですが、改めて数字で示されると、その衝撃は計り知れないものとなりました。

 人口が減少することで経済をはじめ、日本社会全体が縮小傾向に向かうことは確実です。今般、政府をはじめ地方自治体が子育て政策を充実させている背景には、そうした人口減による衰退への危機感があります。3月末に厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が新たに発表した2045年までの日本の地域別将来推計人口によると、2020年以降では45道府県が人口を減少させる中、沖縄県と東京都だけが人口が増加するとみられています。東京都と一口に言っても、都内には23特別区、多摩地域、伊豆諸島・小笠原諸島といった離島などがあり、地域によって人口動態は異なります。東京23区は出生率こそ低いものの、ほかの自治体から流入が相次ぎ、人口が増加しているのです。

急激な人口増……学校整備が追いつかない

 23区の中でも人口増加が顕著になっているのが、江東区です。1999年に約37万5000人だった人口は、2004年に約41万1000人、2009年に約45万5000人と、わずか10年で8万人も増加しました。

「江東区の人口が増加しているのは、銀座などの都心部、丸の内・大手町といったオフィス街から近く、それでいながら家賃相場がほかの区よりも低いことが挙げられます。それが、新たにマンション購入を考えているファミリー層に江東区が選ばれている理由だと思います」と話すのは、江東区都市整備部住宅課の担当者です。

 江東区には総武線・京葉線・有楽町線・東西線・半蔵門線などの鉄道網があり、これらを利用すると約10~20分で都心部まで移動することが可能です。こうした交通アクセスのよさが江東区の魅力です。タワーマンションがあちこちに建てられるスペースが十分にあったことも江東区人気に拍車をかけました。

「江東区には、昔から大規模工場がたくさん立地していました。近年、それらが郊外に移転し、広大な工場跡地が残りました。そうした空間的な余裕があったため、そこに大規模なマンションが続々と建つようになったのです」(同)。

 本来、人口が増加することは自治体にとって歓迎すべき現象です。しかし、急激すぎる人口増は、江東区を悩ませました。人口が増加すると道路や上下水道の整備、ゴミの収集といった行政の手間が増えます。特に、江東区を悩ませたのが小中学校の建設でした。

 江東区に引っ越ししてくる人たちの多くは、30~40代のファミリー世帯でした。子供を抱える世帯が流入してくると、行政は保育所や小中学校などを整備しなければなりません。

 保育所・小中学校の整備には、まず計画を策定して議会で予算を組み、建設用地を取得し、それから着工になります。これらに費やす歳月は、おおよそ5年です。人口が増えたからといって、すぐに学校を新増設できるわけではないのです。また、多額の税金を投じて小中学校を建設しても、私立に進学するなどして地元の公立小中学校に通わない子供も少なくありません。せっかく建設した学校が無駄になってしまうこともあり得るのです。

 当初、既存の小中学校の敷地に校舎を建て増しする形で対応した江東区でしたが、すぐに限界に達しました。新しく小中学校を開校しても、流入してくる小中学生の数が多すぎて追いつかないほどでした。

 こうした事態に直面し、江東区は2004年にマンションの建設に一定の制限をかける条例を制定します。条例では、学校が不足する地区を受入困難地区に指定し、大規模タワーマンションの抑制策を講じたのです。同条例は4年間の時限立法でしたが、江東区の人口増は鈍化。江東区は人口推計を下方修正しました。条例は、江東区が想定した通りに効果を発揮したのです。

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最終更新:10/1(月) 18:59
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