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<名古屋西労基署>石綿労災、補償額倍に 正社員賃金で算定

4/16(月) 6:30配信

毎日新聞

 正社員時代に吸ったアスベスト(石綿)が原因で中皮腫を患い、名古屋西労働基準監督署から労災認定された浜松市の男性が、嘱託社員時の低賃金に基づいて補償額が算定されたのは不当として不服審査を申し立て、労基署は定年退職前の賃金に基づいて補償額を見直し約2.2倍に増額した。石綿関連がんは潜伏期間が長く、中皮腫は平均40年。患者の支援団体は、発症時期によって不利益にならないようなルール作りを厚生労働省に求めている。

 名古屋西労基署の見直しは昨年11月。この男性は1971年に大手電気工事会社に入社し、ビルや百貨店の改修工事の際に石綿に接した。2013年の定年退職直後に嘱託社員となり、石綿と無関係の仕事をしていた。

 16年1月に中皮腫を発症し、事業所所在地の名古屋西労基署に労災を申し立てた。同9月に労災認定されたが、補償額は「発症前3カ月の平均賃金が基準」として嘱託社員時の賃金で算定された。これに対し男性は不服審査で「正社員時は課長格の高額賃金だった。退職を契機に改めて労働契約を結び嘱託として再雇用されたのだから、退職直前3カ月の平均賃金で補償額の算定を」と求めたが棄却された。男性は不服審査中の同12月に63歳で死亡。遺族は17年5月に労働保険審査会に再審査を請求した。

 再審査中の同6月、厚労省は全国の労働局に補償額算定に関する通達を出し「定年退職後同一企業に再雇用された後に遅発性疾病を発症した場合」は報告を求めた。労基署は17年11月、「通達に基づき再調査した結果」として処分を取り消し、遺族側の主張通り正社員時の賃金に基づき補償した。この結果、約1年分の休業補償は約240万円から約520万円に、遺族年金は年額約200万円から約420万円となり、ともに約2.2倍に増額した。

 労災に詳しい関係者によると、この男性が嘱託にならず定年退職していた場合、正社員時代の賃金で補償額が算定されたとみられる。

 定年退職後に再雇用や嘱託などに変わったため賃金が下がり、低額な補償となるケースは、雇用形態の多様化が進んだことで相次いでいるとみられる。労災全般に詳しい片岡明彦・関西労働者安全センター事務局次長は「石綿関連がんに限らず、潜伏期間の長い遅発性疾病の発症時期によって大きな不利益にならないよう、ルール作りが必要だ」と訴えている。

 厚労省は「通達で報告対象となる同様の事例は複数ある。再雇用後の業務内容も勘案して、最終的に判断すべきだと考えている」としている。【大島秀利】

最終更新:4/16(月) 6:30
毎日新聞