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新生“SEGA AGES”シリーズにかける意気込みを開発陣に訊く、リリース予定タイトルは“セガ3D復刻プロジェクト”以上に!

4/16(月) 12:02配信

ファミ通.com

文・取材:馬波レイ

 2018年4月14、15日に開催されたイベント、“セガフェス2018”にて発表されるや、クラシックゲームファンを中心に大きな話題となっている新プロジェクト“SEGA AGES”。Nintendo Switch向けに今夏から展開予定の本プロジェクトだが、会場では、展開予定のラインアップから、まずは5タイトルとして、『アレックスキッドのミラクルワールド』、『ゲイングランド』、『サンダーフォースIV』、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、『ファンタシースター』(50音順)が明らかとなった。

 “セガ年代記”とも言うべきシリーズ名は、どのような思いでつけられたのか、そして気になるラインアップや配信ペースはどうなるのか。“セガ3D復刻プロジェクト”から引き続き登板する面々に、レジェンドクリエイターを加えて、さらに豪華となった開発陣に、いま話してもらえるギリギリを聞いてきた。




新生“SEGA AGES”のキーパーソンたち。
右からセガゲームス リードプロデューサー兼ディレクターの小玉理恵子氏、同スーパーバイザーの奥成洋輔氏、同シニアプロデューサーの下村一誠氏、エムツーの堀井直樹氏。


待望の新シリーズが日本・欧米でスタート!

――今回のプロジェクトは、どのようにしてスタートを切ったのでしょうか?

下村 企画が持ち上がったのは『セガ3D復刻アーカイブス 2』が発売され、『3』の企画を進めているときなので、2016年初頭くらいです。そのときから、“セガ3D復刻プロジェクト”の後継プロジェクトとして、やはり据え置き機での展開が必要だろうという意思は持っていました。プラチナゲームズの神谷英樹さんや、ソラの桜井政博さんが「なぜ据え置き機でやらないのか」とおっしゃっていたこともあって、余計にその気持がありましたね。

――企画そのものは2年前でしたか。




下村 はい。ですが、復刻が可能なタイトルは『3』でほぼ使い果たしてしまったし、奥成が「『3』は“ファイナルステージです”と言い切ってしまったので(笑)、どのような形にするのがいいのかを揉んでいたんです。特定のジャンルをフィーチャーした“シューティングパック”といったアイデアもあったのですが、ビジネス的な部分では、『3』よりも売上が立つとは思えないので、宙ぶらりんとなっていました。いっときは堀井さんと「VRで攻めようか」なんて話をしてエムツーさんに研究を進めてもらったのですが、それだとさらに市場が狭いうえに、「クラシックゲームファンのニーズに合わないのではないか」という社内の意見もあって、1年くらいは足踏みしていました。

堀井 VRの『スペースハリアー』は、すごくよかったですよ! 主観視点だとすごく怖い!

――いつか世に出ることを期待しています(笑)。

奥成 確かに『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』に“ファイナルステージ”と名付けたのは僕なんですけど(笑)私は私でニンテンドー3DSの継続アイデアはありました。ただ、アーカイブス3が終わった後、エムツーさんに「ニンテンドー3DSで『バーチャレーシング』が完成するまではあとどれくらい必要なの?」と聞いたところ「あと2年くらいはかかります」との返事で、想像以上に長すぎた(笑)。

下村 そうして足踏みが続いているうちに、Nintendo Switchのプレゼンスが上がってきていて、クラシックゲームファンにも届いてきたので、対応ハードとしてアクセルを踏み直しました。とは言ったものの、おもだったタイトルは “セガ3D復刻プロジェクト”で貯金は使い果たしているので、もっと力を入れようということで、リードプロデューサー兼ディレクターとして、小玉に加わってもらいました。僕がビジネス面を、小玉は内容面を受け持つという役回りですね。


小玉 2016年の年末にエムツーさんと顔合わせをして、プロジェクトに加わったのは2017年の始めごろです。そこから1年以上「タイトルはどうする、ハードはどうする、新要素はどうする」と協議と検討を続けていました。

――“SEGA AGES”というシリーズ名を復活させた経緯というのは?

下村 まず社長の松原から、「新生としてリブートをかけるなら、ブランドを立てなさい」という指示がありました。それと、これまでは国内→海外という流れだったのを、今回は日本・北米・欧州で同時展開したいという気持ちがありました。海外の皆さんからも“セガ3D復刻プロジェクト”は高い評価をいただきましたが、発売は日本より遅かったので。名前については、欧米のスタッフにも加わってもらってアイデア出しをして、その中で一番票を集めたのが“SEGA AGES”だったんです。

奥成 日本ではこれまでに“SEGA AGES”の名前を冠したシリーズが複数出ていますが、海外ではブランドがバラバラだったんです。セガサターンで『アウトラン』、『アフターバーナー』、『ファンタジーゾーン』の3本を1枚のディスクにした“SEGA AGES”というソフトが出ているだけですね、プレイステーション2版は“SEGA Classics Collection”、プレイステーション3などの『セガエイジスオンライン』にあたるゲームは“SEGA Vintage Collection”という具合で。ちなみに、“セガ3D復刻プロジェクト”も、海外では“SEGA 3D Classics”となっていたので、下村が言ったように、今回はワールドワイドで統一しようと。

小玉 海外のスタッフも“SEGA AGES”と聞けば、“セガが復刻するクラシックゲームのシリーズ”だということが、すぐにわかる名前だったということです。

堀井 エムツーとしても“SEGA AGES”という名前には思い入れがあります。なにしろ(英文字だと)上から読んでも下から読んでも同じって、ハマりすぎですからね! 今回も名前負けしないようにがんばらないと。

――そういった過去からの想いも含めて“SEGA AGES”に落ち着いた、と。ところで奥成さんの役割は?

奥成 今回はスーパーバイザーという肩書になっています。僕がメインでプロデュースしたのは、『セガ3D復刻アーカイブス』まで。それ以降の配信版『3D ベア・ナックルII』からの2年は、一歩引いて下村との二人三脚体制となりました。今回は新規プロジェクトということでいよいよプロジェクトから離れるかと思っていたんですけど……。

下村 ガッチリ関わってもらっています(笑)。いまの社内でセガの歴史に一番詳しいのは奥成なので、僕らとしてはおんぶに抱っこですね。

奥成 「収録タイトルはアレでなく、こっちで」とか「メガドライブ版でなくアーケード版で」とか「追加仕様はこういうので」といった指示をしています。あとは社内の過去資料のある場所を教えたり。

堀井 何がスーパーバイザーなんだって話なんですよ(笑)。でも、いてくれれば大船に乗った気持ちになれるので歓迎です。代わりがきく人ではないので。


――Nintendo Switchでの展開を選んだ理由をお聞かせください。

下村 先程も言ったように、ハードの選定はかなり悩みましたが、“セガ3D復刻プロジェクト”を喜んでいただいた方々がいるのだから、つぎもまずは任天堂さんのプラットフォームだろう、と。とくに、ニンテンドー3DSのときに感じた“手の中でクラシックゲームが遊べる”ことに可能性を感じていましたので、Nintendo Switchならそれを引き継げるはずだと判断しました。


堀井 僕らとしては、どのハードでもセガのゲームを作れるなら大歓迎だったんですけど(笑)。でもNintendo Switchというハイスペックなハードになったおかげで、今回のラインアップはけっこう攻め攻めになっています。すでに研究は進めている段階で、「よっしゃ、アレを持ち出せるようにするぞ!」と気合いを入れ直したところです。

小玉 昨年夏あたりには、セガ・インタラクティブ(セガのアミューズメントゲームを開発・販売する会社)の方々に協力をいただいて、当時のタイトルのソースをいろいろと発掘してきました。それもあって、だいたいのラインアップが決まりました。

――どの世代のハードまで再現できるのでしょう?

堀井 時間さえいただければなんでもいけます。ただ、先程下村さんが言ったように、ビジネスとしては時間の制約があるので、現実的な線引きは必要です。ひとつ言えるのは、Nintendo Switchですから、ポリゴン世代のハードが現実的な範囲で動きます。実験したら、笑っちゃうようなモノが動きましたから。

――“セガ3D復刻プロジェクト”では実現できなかった“積み残し”も……?

堀井 いけます! そこまで含めて、ラインアップを想像していてほしいです。弊社的にも3D復刻を進めていたスタッフがそのまま今回の“SEGA AGES”に移行していますので、そこはご期待してくださっていいと思います。


奥成 『とある魔術の電脳戦機』のプレイステーション4限定版で当時の開発の思い出を書いたんですけど、プレイステーション2版『電脳戦機バーチャロン』を開発するのに2~3年、『ファンタジーゾーン コンプリートコレクション』に収録したSYSTEM16版『ファンタジーゾーン2』を作るのには3~4年かかっているんですが、あの時は、複数のプロジェクトで社内承認取って、後に出すタイトルほど開発期間をかけてじっくり作り込む時間を確保しました。いまの時代だと「プロジェクトをやるよ」と決めてからさすがにそこまで時間はかけられないのですが、今回小玉はプロジェクト開始にあたり、かなり多めのタイトルを用意しています。僕が“セガ3D復刻プロジェクト”を立ち上げた時に用意したのが8タイトルで、最終的には18タイトルを出すことができました。今回は最初から15タイトル以上の制作が決定していて、 “セガ3D復刻プロジェクト”のときみたいに数ヵ月に1本といった、やきもきしないペースでのリリースになるはずです。エムツーさんもセガのゲームを移植し続けて10年以上になりますから、その経験を活かしたペースとなってくれるでしょう。もちろん最終的には“セガ3D復刻プロジェクト”以上のタイトルを出すことを目指しています。

堀井 そうですね。そこはバリバリ活きています。ただこれまで移植したことないタイトルがあると「このプログラマーさんは、何を考えてこのコードを書いたのだろう」というのを探る作業が必要になるので、完成までの期間は少し長くなります。ただ、ラインアップの“配球”はかなりいい感じです。既存の知識だけでなんとかなるタイトルもあれば、力を注がないといけないタイトルの緩急が、しっかりとついている。


これまでの知見でリリース間隔は3D復刻より短く!

――ラインアップの話が出たところで、もう少し具体的にお伺いしたいのですが、今回発表となった5タイトルは、早い段階でリリースされるのでしょうか?

小玉 いえ、この5本が最初のタイミングで出るわけではありません。

堀井 あくまで出せる目星がついたものですね。とは言ってもたとえば『サンダーフォースIV』に関しては、今回プレイアブル展示もしていたので楽そうに見えるかもしれませんが、じつは見た目以上に手間がかかっていますよ。前作の自機であるステュクスが使えるのは過去にセガサターン版『サンダーフォース ゴールドパック2』で実現していますが、あれはエミュレーションではない移植だったので、今回は新たに作り直しています。『セガ3D復刻アーカイブス3』を作っているころから実験を進めていたので、一見手間がかかってないように見えるだけなんです。


――気が早いですが、ほかのテクノソフトタイトルの登場にも期待してしまいます。

堀井 『プラズマライン』ですね!

奥成 (無視して)当然やりたいタイトルはいっぱいあるんですけど、いきなり『新・九玉伝』が復刻されても「ほかにもっと出すものがあるだろ!」とツッコミを入れられまくりそうなので、そこは多くの皆さんが期待するタイトルからですね。

――わかりました(笑)。

奥成 でも開発の意見ももちろんあって、『アレックスキッドのミラクルワールド』は、エムツーのディレクター・松岡(毅)さんのイチオシがあったからなんですよね。“セガ3D復刻プロジェクト”で、スタッフクレジットに最後のタイトルなのでゲストでアレックスキッドを登場させたいという申し出があって許可したんですけど、1回のつもりがその後も新作を作れることになった結果、なぜかスタッフクレジットでアレクがレギュラー出演することになってしまって(笑)。その一方でいつまでたっても一向にゲーム自体はリリースされないことに、松岡さんはきっと気にかけていたんだと思います。しかも今回は、実際にオリジナル版の『アレックスキッド』を作った小玉がプロデューサーになって。


小玉 タイトル画面のいろんなアレクが、音楽に合わせてコマ割りみたいに出現するのを、プログラマーと相談しながら作ったことを思い出します。でも、30年前に自分が描いた『アレックスキッド』の画面を見るのは、もう拷問にも等しいんですよ……(苦笑)。

一同 (笑)。

堀井 それはもう、レジェンドクリエイターの皆さんが一様におっしゃることですよ。

奥成 小玉は今回発表した中で、『アレックスキッド』と『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、『ファンタシースター』の3本にデザイナーとして関わってますからね。

堀井 セガのコンシューマーゲームのデザイン面を支えてきた伝説のクリエイターがウチの会社に来ると聞いたときには「俺たちなんか悪いことしたっけ」って気持ちになりましたよ。お茶を出した若手スタッフの手が震えていましたから(笑)。

――いい話です。せっかくですので、小玉さんの代表作のひとつ『ファンタシースター』についてお聞かせいただけますでしょうか。オリジナルの発売からちょうど30周年ですし。

小玉 「ラインアップに加えましょう」と言われたときは、どうしたものかと思ったのですが、堀井さんから「プレイヤーとしての僕らがほしいんです」と言われて折れました(苦笑)。

堀井 控えめに言っても、かなり敬遠気味でした(笑)。

小玉 プレイステーション2版『ファンタシースターコンプリートコレクション』のときは「お願いだから当時のイラストは収録しないで」、「紙(取扱説明書)はいいけどゲーム中には入れないで」とか言ってましたけど、今回はもう観念して、やるんだったら載せていただこうと思って……。

奥成 画面脇が小玉さんのイラストですよね。もう常駐ですよ(笑)。


小玉 ものすごく辛いんですけど……いまから直してもいいですか?

堀井 描き下ろしていただけるんだったら大歓迎ですよ!

一同 (笑)。

――具体的には、どんな移植となるのでしょうか。

小玉 テキストがひらがな混じりになって、低難度化したモードを加えています。まだ未定ですが、3Dダンジョンが攻略しやすくなる方法も何か用意したいですよね。

堀井 “強くてニューゲーム”ほしいよね、とか!

――『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』については?

奥成 これまでの移植版で追加した要素の、リングキープ、ステージセレクトなどのモードは搭載します。さらに幻のアーケード版の『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』(MEGA PLAY Ver.)を初収録します。

小玉 さらに、まだ目途が立っていないのではっきりとは言えないのですが、ほかにもゲーム性に関わる追加要素を搭載予定です。


――アーケード版の忠実移植が初となる『ゲイングランド』は、期待しているオールドゲーマーもいると思います。

堀井 ついに出ます! Nintendo Switchだとオリジナルの解像度そのままを縦画面で出せるのですよ。それに、ウワサであると聞いたことがある、3人同時プレイが可能だったバージョンが、本当にあるのかどうかを調べつつ移植を進めています。

奥成 2年前の東京ゲームショウ 2016の『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』のステージで公開した移植希望ランキングは1位が『ターボアウトラン』でしたが、レースゲームを除くと『ゲイングランド』が1位だったんです。ですので、隠れた人気がホンモノであったと認識していました。



堀井 今回は放課後の部活動でしたね。プロジェクトに入る前からだいたい動いていたので。

奥成 『ゲイングランド』はこれまでにもメガドライブをはじめ、PCエンジン、海外ではマスターシステムにも移植されているんですが、元となるハードのシステム24が当時の高解像度だったので、忠実移植はできなかったんです。PCエンジン版は上下にスクロールしたりしてましたね。


――ところで、“セガ3D復刻プロジェクト”は、3D化に手間暇がかかっていました。今回は、それがなくなったぶん、リリースの間隔はスピードアップするのでしょうか?

堀井 もともと2Dの絵をどう立体化するかという3D復刻ならではの手間はなくなるので、その点は軽減されます。反対にそこがなくなったぶん、「このゲームにはどんな新要素が必要だろう」ということを考えながら進めています。

奥成 忠実に移植するというのはWiiでバーチャルコンソールをやっていた時代に、最短週1本くらいのペースで2~3年を数でこなしてきました。『セガエイジスオンライン』以降は、ただのベタ移植ではなく、追加要素を入れてさらにおもしろくしようと心掛けてきて、3D復刻になってお客さまのニーズと僕らがやりたいことが合致しました。同じ座組で行うプロジェクトとして、ベタ移植にはしないという意思は継承しています。「実機があれば移植はいらない」と思われない、むしろ持っているからこそ遊びたくなる何かを入っていないと、“SEGA AGES”ではない。

小玉 エムツーさんとは昨年中に「新規要素に何を入れるか」を、奥成も交えて打ち合わせ済みです。現状はあくまで「これができたらおもしろい!」というアイデアなので、限られた時間の中でどこまで実装ができるかを探っているところです。おいおい発表していきますので、続報にご期待ください。


目指すは“セガのゲーム全部”!

――では最後に、発売を期待するファンの方へメッセージをお願いします。

下村 『セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE』から間が空いてしまいましたが、ようやく僕らのプロジェクトを始動できました。今回は“セガ3D復刻プロジェクト”よりもタイトル数を多く用意しています。僕の構想としては、会社から承認を受けている第1弾以降も、プロジェクトを継続して、長いスパンでセガの名作をお届けしていきたいと思っていますので、応援のほどよろしくお願いします。目指すは“セガのタイトル全部”です!

奥成 本プロジェクトでは、スーパーバイザーという立場での参加で、具体的に言うと仕様を増やす係です。今回はオリジナルの忠実移植に加えて、どれだけおもしろい新規要素をエムツーさんが追加してくれるかにかかっているので、そこに期待してお待ちください。

堀井 またしても仕事でセガのゲームと戯れるシーズンがやってまいりました! いままでさんざんセガさんのハードのゲームを作っているわけですけど、このシリーズがガンガン続いていくと、あと何機種かでコンシューマハードを全部移植したと言えるので、それが実現するためにも皆さんよろしくお願いします。

小玉 私事ですが、ゲームを作り始めて30年が過ぎるというときに、改めて自分が関わった過去の作品を見直す機会に恵まれて、気恥ずかしくもありがたく思っています。ぜひご期待ください。


■撮影/和田貴光

最終更新:4/16(月) 12:02
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