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NIPPOの重機用緊急停止システムが安全規格第1号、重篤災害ゼロを目指し開発

4/16(月) 6:10配信

スマートジャパン

 NIPPOの開発した建設重機用の緊急自動停止装置「WSシステム」が2018年4月6日、一般社団法人セーフティグローバル推進機構(IGSAP)の新しい安全規格「Safety 2.0」の適合第1号に認定された。同日、NIPPO本社でIGSAP・向殿政男会長(明治大学名誉教授)が、NIPPOの荒井明夫常務執行役員 総合技術部長に認定証を授与した。

後方にWSS-WL用のカメラを搭載したホイールローダ 出典:NIPPO

 新規格Safety 2.0は、IGSAPが創設した認定制度。情報通信技術(ICT)を活用し、不安全事故の低減と生産性向上を両立させる協調安全(Safety 2.0)を社会に普及させることを目的とした規格。技術的要件を定めた基準に基づき審査し、適合と判定した対象・組織をIGSAPに登録公表。証明書を発行して、対象にはSafety 2.0適合マークの表示許可が与えられる。

「知らせる」から「止める」。安全技術の発想転換――。

 今回、第1号として認定された技術は、NIPPO独自の自動停止装置「WSシステム(Worker Safety System)」。地面をローラーで押し固める建設機械タイヤローラー(=ロードローラー)用WSS-TRと、ショベルを備え車輪で走行するホイールローダ用WSS-WLの2種類がある。『止める>見える>知らせる』をコンセプトに、従来の警報で知らせる方法ではなく、物理的に重機を止めるへ発想を転換し、重篤災害を撲滅する安全技術を目指して開発された。

 WSS-TRは、RFID(Radio Frequency Identifier)を利用した緊急停止システム。磁界発生装置と受信アンテナを搭載したタイヤローラーがバックする際、路上にいる作業者のヘルメットに装着されたICタグを磁界内で検知すると、即時にエンジンが切られてブレーキが働く仕組み。ICタグは、電池寿命約2年の高感度セミアクティブ型で、検知方法も天候、視界、気温、障害物などに影響されにくい。

 ホイールローダ用のWSS-WLでは、距離を計測できるステレオカメラを車体後方に取り付ける。可視範囲内で人や車両、障害物を検知すると、警報ブザーを発するとともに、ブレーキの奥に装着させたシリンダーによって自動ブレーキ装置が作動し、衝突前に自動停止させる。ステレオカメラの範囲内に入った時のみ作動する仕様で、検知範囲は任意に設定することができる。

●後付け方式のため、メーカー・機種を限定せずに搭載可能

 NIPPO 総合技術部 生産開発センターの担当者は、開発経緯について、「道路の舗装工事に使用するタイヤローラーの後方は死角が多い上、意外と速度が出るため、作業員が路面の温度を測っているときなどに気付かずひかれてしまう事故が起きていた。これを踏まえ、これまでの警報音で知らせるタイプではなく、物理的に機械を止める確実な手段を採用。検証テストを重ね2016年に実用化させた」。

 一方、「ホイールローダは、当社では工場内での運用が多く、場内を出入りする車両や障害物にぶつけてしまう事例が報告されていた。このため、従業員や車両の全てにICタグを付けるのではなく、重機自体にカメラを設置する方法を選択した」と説明。

 WSシステムの特長に関しては、「両システムとも後付け方式なため、リース・レンタル機でも、メーカー・機種を問わず、容易に脱着できる。WSS-TRは現在20台が稼働しているが、作業が終われば別のタイヤローラーに付け替えることができるので、これまで延べ50台で運用実績がある。WSS-WLは、当社のアスファルト合材工場25工場で採用されている」。

 安全規格を認定したIGSAPでは、2018年2月28日から正式運用しているSafety 2.0を3段階の適合レベルに区分。第1号となったWSシステムは、レベル1の仕様面における対策で評価された。次のレベル2は運用面・要員能力、レベル3はそれに加えた改善や成果をそれぞれ段階的に審査する。

 IGSAPの事務局は、「認定されれば終わりではない。今回認定を受けたWSシステムの有効期限は2021年2月28日までと設定されている。3年に1度、適合基準を維持できているかどうかも調べ、規格自体の信用性を担保する。現在、トンネルのレーザー検査技術やロボットメーカーなどからも申請があり、建設業だけに限らず、Safety 2.0の制度周知を多様な業種に広めていきたい」とコメント。