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投資ファンド、事業承継の選択肢に 中小企業の後継者難で利用者が増加

4/17(火) 7:15配信

SankeiBiz

 中小企業の間では後継者難によって黒字でも廃業を余儀なくされる企業が増えており、事業承継を円滑に進めていくことが課題となっている。こうした中、着実に実績を残しているのが投資ファンドの活用による事業承継だ。これに伴い日本政策投資銀行がM&A(企業の合併・買収)仲介の日本M&Aセンターと共同でファンドを設けるなど、投資ファンドをめぐる動きが活発化している。

 ◆中小機構が仲介

 自動車部品メーカー創業家に育った2代目社長は、60歳を超えると健康面で不安を抱えるようになった。高い収益を確保していたこともあり、経営のバトンタッチを模索したが暗礁に乗り上げた。親族に後継を託す人材がいなかったからだ。日本の自動車メーカーは新興国戦略を加速しており、取引先からは「新たな海外拠点を展開してほしい」という強い要請があったが、後継者問題が難航し、手つかずとなっていた。

 考えあぐねて中小企業基盤整備機構を訪ねたところ、中小機構が一部出資する「中小企業成長支援ファンド」の運営会社から後継社長の育成や海外展開プランなどが提案される。自らの考えと合致したことから、13年に社長と親族の全株を同ファンドに譲渡。社外取締役を受け入れ中期経営計画が策定された。

 後継者問題も解決に向かう。ファンド運営会社のネットワークを通じて、大手自動車メーカーの海外法人社長を務めた人材が紹介され、2年間の業務経験を経て3代目社長に就任した。

 投資ファンドの支援によって懸案だった新規の海外工場も稼働するなど、経営基盤が強化され収益力も向上。出口戦略として、事業の親和性があり相乗効果が期待できる大手部品メーカーへ売却された。後継社長を中心とする経営は高く評価され、譲渡後も引き続き、経営体制が維持されている。

 ◆「国の機関」に安心感

 中小企業成長支援ファンドは、10年から運用が始まり、17年12月末時点で累計1720億円の投資を実行。うち6割近くが事業承継案件だ。落合徹ファンド事業部審議役は「後継者の確保と育成に期待する利用者が増えている」と話す。

 日本政策投資銀行と日本M&Aセンターの折半出資で設立した「日本投資ファンド」は、経営者の高齢化や後継者難に悩む中小企業の経営権を取得。最高経営責任者(CEO)を送り込んだり、適切な設備投資を行ったりして、企業価値を高める。有力な提携先があれば、事業譲渡につなげる。同センターの能登雄太役員室部長は「提携後にオーナー一族が再出資できるなど、M&Aと比べて柔軟な事業承継を実現することもできる」とファンド活用のメリットを強調する。

 かつての投資ファンドは過激な経営手法から「ハゲタカ」として敬遠されることも多かった。しかし「国の機関である中小機構が出資するファンドが実績を上げていることで安心感が出てきた」(中小機構の落合氏)と企業経営者の間では、意識の変化が広がっている。

 親族承継、経営陣が株主から自社株式を譲り受けたりすることでオーナー経営者として独立するマネジメント・バイアウト(MBO)、M&Aに次ぐ有力な事業承継の選択肢として、投資ファンドの活用が進みそうだ。

最終更新:4/17(火) 10:32
SankeiBiz