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AIの力を借りた新人タクシードライバー、売り上げはいくら増えた?

4/16(月) 9:17配信

ITmedia エンタープライズ

 携帯電話ネットワークを使った人口統計情報やタクシーの運行データ、気象データなどをかけ合わせ、現在から30分後までのタクシー乗車需要を予測する、NTTドコモの「AIタクシー」。2018年2月にスタートした本サービスは、4月4日~4月6日に東京ビッグサイトで行われた「第2回 AI・人工知能 EXPO」でも展示を行っており、来場者の注目を浴びていた。

AIタクシーの情報源となるエリアごとの人数予測。東京駅北側の区域だと、日本橋駅周辺が約1万4000人と最も人が多いことが分かる

 リアルタイムな需要予測データを配信することで、ドライバーごとの実車率(稼働率)のばらつき解消や底上げ、そして業務効率や生産性向上という効果が期待できるほか、タクシーの利用者にとっても、待ち時間が短縮するといったメリットがあるという。

 本サービスで予測された結果は、タクシー事業者の配車システムやドライバー業務支援アプリなどを介してドライバーに配信する。配信するデータは、「営業区域内500メートル四方ごとのタクシー乗車台数の予測値」「乗客獲得確率の高い100メートル四方のエリアの情報」「乗客獲得確率の高い進行方向」「普段よりも人口が多い500メートル四方のエリア情報」の4つだ。

 ブースでは、ドライバーに提供する需要予測情報のデモを行っており、筆者が取材した14時すぎの時点では、JR新宿駅西口周辺の500メートル四方が42人と最も多かった。地図上に数字や色という情報が被せられている形で、非常に見やすい印象を受けた。

●AIタクシーを使ったドライバーは、どれだけ多く稼げるのか?

 AIタクシーは、先行導入して実証実験などを行っていた東京無線タクシーと、愛知県名古屋市のつばめタクシーグループが利用している。彼らは2016年末から2017年3月ごろにかけて、新人ドライバーに同サービスを利用してもらう実験を行ったという。果たして、AIタクシーはどれだけドライバーの売り上げに貢献したのだろうか?

 ブースの説明員によれば、東京無線タクシーでの実証実験に参加した新人ドライバー16人は、他のドライバーと比べて、1人1日あたり3115円の売り上げが増えたという。東京都心における1日タクシーの平均売り上げ(1日)が約5万円弱といわれていることを考えると、大体6%ほど売り上げが増えたことになる。

 ちなみに名古屋のつばめタクシーで行った実験については、売り上げの上がり幅が平均1200円程度だったとのこと。東京と比べて少ないが、タクシー需要が非常に高い東京と状況が異なることは留意しておきたい。

 タクシードライバーの高齢化や人材不足が叫ばれる昨今、「新人でもすぐに結果が出しやすくなれば、新たなドライバーを確保しやすくなるのではないか」というのがNTTドコモの考え。その背景には、ほとんどのタクシー会社が歩合制を採用しており、売り上げが自らの収入に直結するという業界構造がある。

 「売り上げ向上もそうですが、効率よくお客さまを拾えるようになったことで、ガソリン代が大きく減ったという効果もありました。これらの結果を踏まえて、導入を決めたそうです」(説明員)

●AIを活用した「乗り合いバス」も実験中

 NTTのブースでは、このほかにも、スマートフォンを使って乗車リクエストを行い、そのリクエストに応じてAIが配車やルート変更を行う「AI運行バス」のデモも展示していた。2018年3月下旬から、福島県会津若松市で実証実験を始めている。

 市内に点在する観光地をバスが効率よく回るためのシステムで、ユーザーは鶴ヶ城、会津武家屋敷など25カ所の乗降ポイントから場所を選ぶ。リアルタイムで変わる走行ルートは、タブレットアプリを通じて逐次ドライバーに届けられる。

 AIタクシーもAI運行バスも、ドライバーとタクシー(バス)の利用者をつなぐことで、より効率的な運用を行い、顧客満足度を高めるのが目的だ。データ解析やAIの技術が発展していくことで、公共交通機関はユーザーのニーズに寄り添うものになっていくだろう。