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衝撃8回TKO!村田、日本選手ミドル級初防衛/BOX

4/16(月) 7:00配信

サンケイスポーツ

 WBA世界ミドル級タイトルマッチ(15日、横浜アリーナ)2012年ロンドン五輪金メダリストでWBA世界ミドル級王者の村田諒太(32)=帝拳=が同級6位のエマヌエーレ・ブランダムラ(38)=イタリア=に8回2分56秒TKO勝ちし、初防衛に成功した。日本選手が同級の世界王座防衛を果たすのは初めて。米ラスベガスで計画されるV2戦をクリアすれば、今冬には世界3団体統一王者のゲンナジー・ゴロフキン(36)=カザフスタン=との東京ドーム決戦が実現する可能性が高い。破壊力のある右拳でミドル級最強を目指す。

 伝家の宝刀が炸裂(さくれつ)した。8回だ。村田はワンツーでブランダムラをグラつかせると、素早く踏み込んでフック気味の右ストレート。尻から倒れた挑戦者が起き上がる前に、陣営が棄権を申し出た。

 「判定になったり、倒さなかったら『大したことない』と言われる。時間はかかったけど、右で倒せた。そういう点ではホッとした」

 日本選手初のミドル級世界王者・竹原慎二が1996年6月の初防衛戦に敗れた横浜アリーナで、村田が“ジンクス”を打破。1万人を超す大観衆を熱狂させた。

 戴冠からが真のスタートだった。V1戦は頂点に立った満足感などから、タイトル奪取よりも難しいとされる。しかし村田は違った。「ステージが上がったことで見える景色が変わった」。置かれた立場の重さを痛感して進化を求めた。

 まず取り組んだのは肉体面の強化だ。27勝で5KOというブランダムラの戦績から「10から12ラウンドを戦う術を知っている」。スタミナが勝負のポイントになると分析し、1月の1次合宿で毎朝13キロのクロスカントリー走、午後は2キロの坂道ダッシュ。2次合宿でも200段の階段ダッシュを1本1分のハイペースで計10本。心肺機能を限界まで追い込んだ。「最後までスタミナがもって動きが変わらなかった」と成果を実感した。

 心の平静も課題とした。試合が決まってから、哲学者ビクトール・フランクルの「夜と霧」を何度も手に取った。ナチスの強制収容所での体験を基に生きる意味を記した一冊。収容所から解放された人が「ひどい目にあったんだから」といい、畑の芽を踏みつぶす描写がある。

 この場面を自分に置き換え、「僕の場合と全然違うけど、『王者になったんだから何をやってもいい』というわけじゃない。どう振る舞うか」。謙虚な気持ちが冷静につながると解釈すると重圧は消え、気負いもなくなった。自然体を保てるようになり、V1もクリアできた。

 欧米選手と比べ体格が小柄な日本選手は、リミット72・5キロのミドル級より重い階級で世界王座を手にしたことがない。そして、全階級の中で最も層が厚いとされ、猛者がそろうこのクラスで、村田は世界に名を売った。9月に予定する次戦はラスベガスに進出し、今冬には世界3団体統一王者のゴロフキンと5万人以上収容の東京ドーム決戦という計画もある。

 「リアルな王者は僕ではなく、ゴロフキン。(年内に)ゴロフキンを目指してやりたい。1番を目指したい」

 五輪金メダルからプロに転向して4年余り。進むべき道は決まっている。村田が新たなステージに向かって突き進む。