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「クラウド」から「データ利活用」へ、NTT Comが戦略キーワードを変えた理由

4/16(月) 12:36配信

ITmedia エンタープライズ

 「デジタルトランスフォーメーション(DX)をお客さまとともに実現する信頼されるパートナーを目指し、2018年度はデータ利活用を支えるケイパビリティの強化・拡充に注力したい」――。NTTコミュニケーションズ(NTT Com)の庄司哲也社長は、同社が4月10日に開いた2018年度(2018年4月~2019年3月)のサービス事業戦略についての記者説明会でこう強調した。とりわけ、「データ利活用を支えるケイパビリティの強化・拡充」が戦略のテーマである。

“データ流通基盤”によるビジネス構想

 このテーマを掲げた背景として庄司氏は、スマートデバイスやIoTの発達によって、さまざまなところからデジタルデータを取得できるようになったことや、コンピュータの処理能力向上やAI(人工知能)などの発達によって、デジタルデータの利活用シーンが拡大したこと、データの利活用に関する理解の向上や法制度が整備されてきたことなどを挙げ、「いよいよ本格的なデータ利活用の時代が訪れつつある」との認識を示した。

 そのうえで同氏は、データ利活用に向けた取り組みについて、さまざまなIoTデバイスが生成するデータを蓄積場所まで運ぶ「収集」、収集したデータを安全に保管して分析しやすいように加工する「蓄積」、蓄積されたさまざまなデータを組み合せて新たな知見を生み出す「分析」といった3つの観点から、それぞれのポイントを説明した。

 まず、収集については「IoTデバイスの種類や位置に応じた適切なセキュリティ対策」や「大容量データの効率的な転送」がポイントになると指摘。セキュリティについては、デバイスやネットワーク、OT(制御技術)・IT環境といったデータ収集プロセスごとの対策を講じる一方、大容量データの転送については海底ケーブルの拡充を図っているという。

 蓄積については「さまざまなロケーションでのデータ蓄積」や「データの機密性・匿名性の確保」がポイントになると指摘。データ蓄積については、データセンターのカバレッジ拡大として、今後も図1のように6カ所の新設を計画しており、これらを合わせて提供するデータセンターは20以上の国や地域をカバーし、サーバルーム面積は40万平方メートル以上になるという。

 また、南アフリカのクラウドサービス事業者であるDimension Dataを買収したことにより、クラウドサービスは15の国や地域、35のデータセンターから提供できる形になった。データの機密性と匿名性の確保についても「秘密分散」や「秘密計算」などの最新技術を提供していく構えだ。

●APIを駆使した“データ流通基盤”の実現へ

 分析については「多様な分析ニーズへの対応」や「企業や業界を超えたデータ利活用の促進」がポイントになると指摘。多様な分析ニーズへの対応については、NTTグループで開発し展開している自然言語処理AI「COTOHAシリーズ」が中核を担う。庄司氏によると、「COTOHAの主要機能についてはパートナー企業にも活用してもらえるように、2018年度上期中にAPIを公開する予定」とのことだ。

 また、パートナーとの連携については、図3が最近の目立った動きである。さらに、同氏は今後の目標として「xTechによるイノベーションと業界ごとの情報をAPIで結ぶ“データ流通基盤”の役割を果たしていきたい」と大きなビジネス構想を語った。

 以上が、NTT Comの2018年度のサービス事業戦略だが、筆者が最も注目したのは、キーワードとしてこれまで前面に押し出してきた「クラウド」を、今回「データ利活用」に変えたことである。

 過去2年、同社が同時期に開いた事業戦略会見の内容を本コラム連載から引き出してみると、まず2016年4月18日掲載の「NTT Comはクラウド市場で“ITジャイアント”に勝てるか」では、当時の戦略について庄司氏は次のように語っている。

 「“ITジャイアント”といわれるグローバルベンダーと、クラウド事業でしっかりと渡り合っていけるようにしたい」

 そして、2017年4月17日掲載の「NTT Comがクラウド戦略を転換 その真意は?」では、同様に次のように語っている。

 「企業システムのクラウド化ニーズは高まってきているが、一方で、いったんクラウドに上げてみたものの、オンプレミスに戻すケースも見受けられるようになってきた。どうやらオールクラウド化だけが唯一無二の正解ではなく、オンプレミスとクラウドのハイブリッド利用がこれからの中心になるのではないか」

 見ての通り、過去2年の事業戦略は、力の入れどころこそ変わっているものの、キーワードはいずれも「クラウド」である。それが今回 「データの利活用」になったのはなぜか。その背景については先述した通りだが、それとともに、“データ流通基盤”によるビジネス構想を描くようになったからだと推察される。

 もともとのネットワークからクラウド、そしてデータの利活用へ――。NTT Comの戦略キーワードの変化は、デジタル時代への移り変わりを物語っているといえそうだ。