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<鳥取砂丘>インスタ映え、虫のオアシス…立ち入り規制

4/16(月) 15:00配信

毎日新聞

 鳥取砂丘で激減している希少な昆虫、エリザハンミョウを保護するため、鳥取県と環境省などは生息地の水たまり「オアシス」周辺にロープを張り、立ち入り規制を始めた。近年は「インスタ映え」のスポットとして人気を集める場所だけに、県関係者は「昆虫は守りたいが景観を損ない観光客が減る恐れも……」と頭を悩ませている。【園部仁史】

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 ◇希少種エリザハンミョウ保護 観光客とてんびん

 今月9~11日、県職員らが「オアシス」周辺にくいを打ち込み、ロープで囲って12日から立ち入りを制限した。北九州市から来た播磨和行さん(73)は「人間のためだけの砂丘ではない。少しくらい景観が変わっても仕方ない」と理解を示したが、スマートフォンで周囲を撮影していた広島県呉市の主婦、山本美穂子さん(36)は「景観が変わった印象。オアシスの存在感が少し薄れたと思う」と話した。

 エリザハンミョウは体長1センチほどの甲虫の仲間で、湿った砂地を好む。鶴崎展巨(のぶお)・鳥取大教授(動物分類学)の調査では、2016年夏に1460匹いた推定個体数は、わずか1年で153匹と10分の1近くに激減。絶滅危機レベルとされる「500」も大幅に下回った。

 少雨や、除草によるエサ(小昆虫)の減少などが主な要因に挙げられる。一方、鶴崎教授は、観光客が知らずに巣穴を踏みつけるのも、減少に拍車を掛けていると指摘、県などが規制に踏み切った。

 ただ、鳥取砂丘は地元の鳥取市・県にとって全国区の貴重な観光資源だ。風で砂一面に波状の起伏ができる「風紋」など、幻想的な景観が撮影できると話題になり、写真共有アプリ「インスタグラム」の投稿者も多い。

 県はさらに観光客を呼び込もうと、16年から砂丘を「スナホ・ゲーム解放区」とし、スマホゲーム「ポケモンGO」のプレーを推奨。昨年11月に開いたゲームのイベントでは3日間で延べ9万人近くを集めていた。

 鶴崎教授は「希少な昆虫を守らねばならない。昆虫たちにとっての『オアシス』に戻していきたい」と主張する。県などは、来年夏まで規制を続け、解除するかは個体数の回復次第という。一方で、エリザハンミョウの希少性をPRに生かし、新たな観光客の掘り起こしも検討している。

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 ◇エリザハンミョウ

 ハンミョウ科に属する甲虫。黒茶色。成虫は5月から9月にかけて活動する。芥川賞作家の安部公房の長編小説「砂の女」の中には、登場する男が希少なハンミョウ科の昆虫を採取しようと砂地を訪れる描写もある。都道府県版のレッドデータブックに5都県で、絶滅危惧種などとして掲載されている。

最終更新:4/16(月) 15:00
毎日新聞