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<熊本地震2年>亡き母から勇気、32歳女性再就職

4/16(月) 22:38配信

毎日新聞

 熊本地震の本震で熊本県南阿蘇村の自宅が全壊し、母一美(いちみ)さん(当時62歳)を亡くした高田尚子さん(32)は、母を助けられなかった後悔から失意の日々を送ってきたが、納骨を済ませて少しずつ将来のことを考えられるようになった。今年3月からは書店で働きだし「人との触れ合いを感じられる」と充実した毎日を送っている。

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 高田さんと一美さんの仲のいい親子は2人で暮らしていた。2016年4月16日未明の本震で倒壊した自宅の下敷きになり、高田さんは柱の隙間(すきま)で奇跡的に助かったが、一美さんは亡くなった。

 14日夜の前震後、一睡もせず仕事に行った一美さんは居間のこたつで眠り込んでいた。高田さんも余震が怖かったため、すぐ逃げ出せるようこたつで寝ようとしたところで本震に襲われた。「お母さん!」。目を覚ました一美さんと目が合った直後に2階が落ちてきて下敷きになった。

 身動きできなかったが、足先に一美さんの足が触れた。「お母さん、お母さん」。呼び続けたが返事はなく、足は冷たくなっていった。先に助け出された高田さんは「生きていて」と祈りながら救出を見守ったが、願いはかなわなかった。

 「あの夜、無理にでも起こして2階で寝させれば助かっていたかもしれない」。地震後は後悔し、自分を責めた。地震の直前に仕事を辞め、いずれ転職するつもりだったが就職活動も手に着かず、一美さんを思い出す度に泣いた。「一緒に連れていってほしかった」とまで思った。

 本震の1年後の昨年4月16日、一美さんの納骨を済ませ、ようやく気持ちが落ち着いてきた。「少しでも気持ちが晴れるだろうから行ってきたら」。友人に勧められて好きなアーティストのライブにも出かけるようになった。昔からファンで、かつて福岡市であったライブに初めて行った時は一美さんも誘った。「お母さんも一緒にいる気がする」。久々のライブでそう感じた。

 今年2月、中断していた就職活動を始め、3月から同県大津町の書店に勤めている。同町のみなし仮設住宅から通勤する毎日だ。2年ぶりの仕事で不安もあるが「お母さんが見守ってくれている」。その安心感が新しい人生への勇気になる。【中里顕】

最終更新:4/17(火) 2:27
毎日新聞