ここから本文です

お使いのInternet Explorerは古いバージョンのため、正しく表示されない可能性があります。最新のバージョンにアップデートするか、別のブラウザーからご利用ください。
Internet Explorerのアップデートについて

花粉飛散量予測ガチンコ対決の結果は? ウェザーニューズVS日本気象協会

4/16(月) 9:00配信

産経新聞

 今シーズンの花粉飛散量が、前年を上回る見通しとなっている。当初予測が正反対だった民間気象大手2社のうち、増加と予想した日本気象協会(東京)は3月中の飛散量が昨年同月の約43倍にのぼったと“勝利宣言”。一方で減少予想のウェザーニューズ(千葉)は4月12日、今年の飛散傾向について時期が偏る「メリハリ型」と釈明した。勝敗を分けるカギとなったのは、昨夏の天候に対する評価の違いだが、専門家は「自然相手なので高精度の予測は難しい」ともしている。(社会部 市岡豊大)

 ■増えた東京の花粉

 「今シーズンの傾向は寒気の影響で飛散開始が遅く、気温上昇とともに急激に増えたことにあります」

 ウェザー社は12日、こうした分析を明らかにした。今年2月は寒気が強く、飛散時期の早いスギ花粉の開始日は過去10年で最も遅かったという。だが、予想外の高温となった3月後半にはスギに続いてヒノキ花粉でもピークが訪れた。

 同社は5月上旬には北海道以外でシーズンが終わると予想するが、総飛散量についてはシーズン後にまとめる。担当者は「メリハリが付き過ぎたのが実態で、最終的に総量が前年より増えるか不明」としつつ、「東京に関していえば大幅減少とした予想は苦しい状況だが…」と認める。

 気象協会の観測結果では東京の飛散量は明瞭に増加している。3月末までに東京都千代田区で観測されたスギ、ヒノキ花粉の総数は1平方センチ当たり計7252個。すでに昨シーズンの総数計3219個を超えており、まだシーズン中にもかかわらず過去10年の年間平均値7618個に迫る勢いだという。

 同社の担当者は「今年は気温の急上昇、強い南風が吹く『春一番』など花粉が飛びやすい条件が3月後半に集中した」とする。予想的中の要因については、「毎年行っている花芽の生育調査を今年は特に重視し、データ収集に汗をかいたのが奏功したのでは」と胸を張る。

 ■異例の対決となった今シーズン

 昨年10月に発表された両社の予想では、今シーズンの東京の花粉飛散量について、ウェザー社は前年比約70%としたのに対し、気象協会は前年比2倍と予想。両社は全国的にも同様の傾向を見込んでおり、ここまで明確に予想が異なるのは異例のことだった。

 こうなった要因は「昨夏の天候の見方が違う」(ウェザー社)ことだ。花粉の飛散量は一般的に、前年の夏が高温で日射が多いほど樹木に花が生育し、飛散量が増えるとされている。気象協会は昨年7月、北日本で平年比2・4度高くなるなど全国的に気温が上昇したことに注目。だが、8月には冷たい気流が東日本に流れ込んだことで雨や曇りの日が多くなり、ウェザー社はこうした天候不良を重く見たという。

 天候の評価の違いが予測結果の違いを生んだ両社だが、そもそも双方の花粉飛散量の計測方法は大きく異なる。

 気象協会は空中の花粉をスライドガラスに付着させ、1平方センチ当たりの花粉の個数を顕微鏡で直接目視で数える「ダーラム法」という伝統的な手法を取る。定点観測ができて信頼性が高い半面、手間がかかるため観測回数が限られる。同社は1日1回行っている。

 一方、ウェザー社は独自に開発した「ポールンロボ」という自動的に空中の花粉をレーザーで計測できるロボットを一般家庭などの協力を得て全国に約1千台配置している。1時間おきに送信されるため、膨大なデータを集めることができるが、目視に比べて正確性が劣るとの指摘もある。

 ■そもそも予測は困難

 データ量の豊富さではウェザー社の方が圧倒的に優勢だが、森林総合研究所の倉本恵生研究室長(49)は「花粉の飛散量を予測する際には複数の条件が絡んでくる」と指摘する。

 今回、予想の違いを生じさせたのは気象条件だったが、他にも植生状況という点もある。例えば、花粉を飛散させる花の生育量が多い年(表年)と少ない年(裏年)が交互に来る傾向がある。倉本室長によると、昨年は裏年だったため、今年は飛散量が多い表年となる順番だが、気象だけでなく虫や病気の流行などの要因もあり、必ずしも交互にやってくるわけではない。

 前年の夏場の気象状況に対する解釈も必要だが、冬場に実際に花芽の生育状況を調べることも有効だといい、気象協会が力を入れた花芽の状況調査が有効に作用した可能性もある。

 倉本室長は「丁寧な定点観測もデータ量の多さも重要なので、どちらが正しいということではない。互いにしのぎを削ることで予測精度を高めてもらえればいいのではないか」と話した。

最終更新:4/16(月) 9:00
産経新聞