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仮想通貨はなぜ不安なのか。未来のお金(マネー)を考える

4/16(月) 21:20配信

投信1

仮想通貨はなぜ不安なのか

すでにお金(マネー)が電子データだとすれば、仮想通貨への漠然とした不安感はどこからくるのでしょうか。

お金(マネー)は中央銀行が発行する「法定通貨」で、中央銀行・銀行のバックアップがあります。一方、仮想通貨には、そうしたバックアップがありません。

仮想通貨は現代における「無尽(むじん)注3
」のようなものと言えるかもしれません。そう考えれば、昔ながらの「無尽」ならば、お互いに顔がわかるコミュニティの中での信用基盤がありましたが、今はブロックチェーンという新しい技術、すなわち「分散コンピューティング(分散型台帳技術/DLT)」が拠り所です。ただし、その技術を正確に理解できている人は少ないのではないでしょうか。また「無尽」における「親」が本当に信用できるのかと疑りだせば、それが漠然とした不安につながるのかもしれません。

注3:口数を定めて加入者を集め、定期に一定額の掛け金を掛けさせ、一口ごとに抽籤または入札によって金品を給付するもの(出所:小学館デジタル大辞泉)。

各国政府の対応とキャッシュレス社会の到来

先月、イングランド銀行のカーニー総裁が将来における仮想通貨の脅威を指摘したところですが、今後、各国政府はどのように対応していくのでしょうか。

現時点でグローバル市場での仮想通貨の規模は世界のGDPの1%にも満たないので、すぐに世界金融が不安定になるというような緊急の問題ではなさそうですが、政府・金融当局の立場から考えると、金融や国民生活を安定させるために政府が「親」になるような形でキャッシュレス化を推進していこうとするでしょう。

ご存じの通り、先進事例としてはスウェーデン、エストニア、そして英国があります。英国はインドと組み、まずインドでキャッシュレス化を進め、そのメリット・デメリットを検証した上で英国のキャッシュレス社会構築に向けた大実験を始めているように見えます。

遅ればせながら日本でも、Amazonのキャッシュレスコンビニや、実証実験として「現金通貨での支払いお断り、電子決済のみ支払い可能」のレストランなどが生まれています。法定通貨を使わせないお店というのは違法なのかもしれませんが、いずれ日本政府も国民の利便性を向上させる為、政府が通貨管理できるような仕組みでキャッシュレス化を進めていくでしょう。

そうした政府管理下のキャッシュレス化の結果として、世界の基軸通貨である米ドルへの信認は相対的に下がるかもしれないと推察しています。現時点では、あくまで個人的な妄想に過ぎませんが、ひょっとすると急速にキャッシュレス化を進めている中国と英国が連携し、キャッシュレス社会を前提にした新たな基軸通貨体制を構築していこうとするかもしれません。

仮想通貨を含むフィンテック(金融×技術)の領域はとても幅広く、今後、人工知能(AI)とビッグデータ(機械学習、予測分析)、暗号学(スマート契約、生体認証)、モバイルアクセスとインターネット(API、電子財布、新決済プラットフォーム)といった「破壊的技術(disruptive technologies)」が金融の世界に大きなインパクトをもたらすことは疑いようがありません。

特に、仮想通貨の拠り所となっている「分散コンピューティング」という破壊的技術こそが、将来、お金(マネー)のありようという経済社会の根本を変えてしまう可能性を秘めているように思えてなりません。

大場 由幸

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最終更新:4/16(月) 21:20
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