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社長を動かした障害者からの手紙 仕事の意味学び合う

4/16(月) 9:08配信

福井新聞ONLINE

 「毎日『調子はどう?』ってきいてほしいです」。障害者の社員からの手紙には、なかなか言い出せなかった悩みがつづられていた。受け取った岩井保之社長(54)は「コミュニケーション不足を教えられた」。

 オフィス用品など販売のイワイ(本社福井県福井市)は、社員30人のうち3人が障害者だ。初めて発達障害の男性を雇ったのは8年前。積極的に障害者を雇用している県外企業を視察したことがきっかけだ。

 「健常者より評価が高い障害者がいた。健常者は『私より給料が高いんですよ』と言って、障害者を紹介していた。みんな生き生きしていて、こんな会社になりたいと思った」と岩井社長は振り返る。

 イワイの3人の社員は経理、総務、営業企画と三者三様の仕事に就いている。体調不良で2週間近く休むこともあるが、岩井社長は「待っているよ」と声を掛ける。「だって社員はわが子と同じだから」。そう思えるようにしてくれたのは彼らだ。

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 何のために仕事をするのか―。どれほどの人がこの問いに答えられるだろう。同社で採用されて5年目の障害者の男性は「社会のために役に立ちたい」、女性は「みんなが心を開いてくれるこの会社は私の居場所。だから貢献したい」と話す。

 岩井社長は「周りに対し『ありがとう』と言う側だった障害者が、仕事を通して『ありがとう』と言われる立場になった。ありがとうと言われることこそ幸せなこと。それを教えてくれた」と感謝する。

 県内の身体、知的、精神障害者数(2017年3月末現在)は計5万1752人で、県民の約6・6%。一方、企業の障害者の法定雇用率は今年4月に引き上げられたものの2・2%にとどまる。岩井社長は「自社はできる限り10%にこだわりたい。そうなってこそ本当の共生」と話す。

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 3年前から在宅勤務制度を導入したインターネットサービスのDMM.comラボ(石川県金沢市)。現在は北陸3県で40人が、自宅でデータ入力などを行っている。このうち精神疾患や精神障害者は半数を占める。

 入社2年目で、過去にうつ病だった福井県内の50代男性は「仕事をしていくうちに、症状がなくなっていった。通勤や人間関係のストレスがないことが要因だろう」。入社前は、ひたすら寝ている状況が数カ月続き「いっそ楽になりたい」と思ったこともあったが「仕事を通して自信を取り戻すことができた」という。

 ひきこもり経験者の金沢市の男性(32)も「外に出るのは買い物と晴れた日のウオーキングぐらい。人目にさらされるのは好きじゃないし、身だしなみにも無頓着になっている。在宅勤務だから続けられる」。

 同社は数カ月ごとに、在宅勤務者と面談し、仕事の評価や、次の目標設定を行う。同社マネージャーの梶進一さんは「定期的に会って話をすることで、信頼関係を継続することができる。在宅勤務は障害者雇用のハードルを下げる一つの手段」と話す。

福井新聞社