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地銀統合「公取VS金融庁」の行方

4/16(月) 11:51配信

ニュースイッチ

独占利潤のリスクをどう判断

 地方銀行の経営統合をめぐり、公正取引委員会と金融庁の対立が際立ってきた。一連の議論では、経済の活性化という視点が欠けている。独占の弊害より、企業に資金という血液を供給する地域金融機関の経営安定を最優先すべきだ。

 長崎県の親和銀行を傘下に置くふくおかフィナンシャルグループ(FG、福岡市)と同県最大手の十八銀行(長崎市)の統合経営計画は、公取委は「競争がなくなることで、融資金利の上昇など、顧客に不利益が生じる恐れがある」とし、待ったをかけている。これに対し、金融庁の有識者会議は、「経営余力があるうちに、統合を進めるのが望ましい」と反論している。
 
 地銀の本業は苦戦している。ゼロ金利が、地銀のビジネスに強い逆風になっているためだ。預金部門は集めた預金を他行に貸しても金利がゼロなので、コスト分だけ赤字になる。

 一方、融資部門は、取引先が設備投資せず、利益を借金返済に回すため、融資残高が減っていく。融資残高が減らないように無理して金利引き下げ競争をしていくと、各行とも「貸出金利は下がったが、融資残高は増えない」ということになりかねない。こうした中、地銀は合併、統合でコスト削減を迫られる。

 また、数年以内にはフィンテックなどが進み、地域に密着した金融機関でなくても、遠隔地の借り手に融資することが容易になるだろう。そうなれば地域独占という概念自体が意味をなさなくなる。

 現在の好況時でさえ、過当競争による低利ざやで地銀の業績がさえない。今後景気が悪化した時に不良債権が増加した際の影響が懸念される。自己資本比率規制があり、仮に地銀が赤字続きで自己資本が減ってくると、貸し渋りにつながる。

 貸し渋りを受けるのは、一部の優良企業を除いて中小企業が対象になる。そうなれば、各地で倒産が相次ぎ、地域経済、日本経済に大きな打撃を及ぼすに違いない。そうした事態を避けるには、独占利潤のリスクは許容して、地銀の統合、再編を認めるべきではないか。

最終更新:4/17(火) 10:50
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