ここから本文です

お使いのInternet Explorerは古いバージョンのため、正しく表示されない可能性があります。最新のバージョンにアップデートするか、別のブラウザーからご利用ください。
Internet Explorerのアップデートについて

<兵庫県>要約筆記者、育成足踏み 自治体講座に応募低調

4/17(火) 9:35配信

毎日新聞

 文字を使った「同時通訳者」になりませんか--。障害者の社会参画が進む中、聴覚障害者に話し手の発言ポイントを文字で伝える「要約筆記者」の育成に、明石市や神戸市などの兵庫県内自治体が取り組んでいる。だが、知名度不足からか、各地で開かれる養成講座に応募する人は多くはない。関係者は「社会的意義とやりがいがある仕事なので、ぜひ講座に参加して」と呼び掛けている。【浜本年弘】

 要約筆記は、中途失聴者や難聴者ら手話を「第一言語」としない聴覚障害者と、伝えたい側をつなぐコミュニケーション支援手段。筆記者は自治体を通して講演会や会合などに派遣され、発言内容を「文字」で要約し、紙に書いたりパソコンでスクリーンに映し出したりする。病院受診や学校の授業参観、保護者面談に同行することもある。報酬は自治体が負担する。

 要約筆記の「仕事」は極めて専門性が高い。筆記者になるには、自治体主催の養成講座に参加した上で登録試験に合格し、自治体に登録する必要がある。

 明石市の藤田郁代さん(65)は約15年前に筆記者になり、週2回程度活動している。最も心に残る出来事は、子どもを病院に連れて行く聴覚障害者の母親に付き添った時のことだったという。「母親から『我が子の病気について医師から直接、説明されてよかった』と喜ばれた。この経験が励みになった」

 裁判員制度の開始や、国民の高齢化に伴って難聴者の増加が今後見込まれることから、国は近年、筆記者の養成を後押ししている。国の方針を受け、県内自治体も養成に積極的になっており、各地で養成講座が開かれている。

 明石市は2015年度、筆記者の確保・養成方針を盛り込んだ「手話言語・障害者コミュニケーション条例」を施行した。さらに今年度からは、外部委託していた養成講座の運営に直接乗り出した。今月から12月中旬までのほぼ毎週1回、計30回の講座を開く。

 問題は応募者不足だ。募集定員20人に対して応募者は半分に満たなかった。要約筆記の現場では、複数の筆記者がチームを組んで対応することも多い。だが、人数が少ないと、チーム対応のトレーニング時に工夫が必要になってくるという。

 受講生が少なければ、必然的に筆記者の成り手も減る。明石市に登録している筆記者は現在22人。一部は県立聴覚障害者情報センター(神戸市)にも同時登録しており、市は「イベントが重なると日程的に無理をして活動してしまうかもしれない」と懸念する。

 三木市や加西市など北播磨6市町も合同で、5月9日から同様の講座を開く。現在、受講生を募っているが、昨年度に比べて今のところ低調という。

 なぜ講座への応募者が少ないのか。神戸市の養成講座を運営する市身体障害者団体連合会は「活動そのものがあまり知られていないから」とみる。

 筆記者の指導者研修などを行っている社会福祉法人・聴力障害者情報文化センター(東京都)の石原茂樹・公益支援部門部長(66)も「手話通訳は政見放送などで知る機会が増えているが、要約筆記の活動を見る機会はまだまだ少ないのが実情だ」と分析する。

 まずは、知名度アップに向けた効果的な取り組みが求められている。

最終更新:4/17(火) 9:35
毎日新聞