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益城・仮設団地の駄菓子屋、未来信じ「閉めはせぬ」

4/17(火) 7:55配信

産経新聞

 熊本地震で甚大な被害を受けた熊本県益城町のテクノ仮設団地の一角で、お菓子を手にした子供の笑顔があふれる。矢野好治さん(49)は、団地で駄菓子やプリンを販売する「岡本商店」を営む。「義母が大事にしてきた店を閉めるわけにはいかない」。店は全壊し、一度は廃業を覚悟したが、諦められず仮設店舗で営業を続ける。平成28年4月14日夜。自宅兼店舗があった益城町の福富地区は、大きな揺れに襲われた。自宅は全壊し、業務用冷蔵庫は倒れて使い物にならなくなった。

 数日間は避難所に身を寄せ、その後は熊本市内に偶然借りていた一軒家に、妻の祐子さん(47)と長女の百恵さん(10)、親戚ら十数人と避難した。

 だが、店の再開は絶望的で、収入はない。「明日の飯はどうしよう」。生活費は底をつき、貯金を取り崩す日々だった。暗闇を歩いているかのようだった。

 明治時代から続くという店は、妻の両親が切り盛りしていた。矢野さんは勤めていた飲食業の会社を辞め、8年前から手伝うようになった。

 地震後、熊本市内のみなし仮設住宅に住む妻の母、岡本和子さん(78)から「店はあんたたちでしなっせ(しなさい)」と託された。プリンを作るオーブンが唯一無傷で残ったのを見て「もう一度やってみろと試されている」。再開を決意した。

 28年9月に仮店舗の出店にこぎつけると、団地の被災者が連日訪れた。

 「大変だったね」「頑張れ」

 その言葉に「一人ではない」と心を救われ、不安が薄らいだ。復興への祈りを込めて名付けた「益城プリン」の販売も始めた。

 ただ、店は3年の仮設団地の入居期限と同時に退去を迫られる。自分自身の土地は区画整理事業の対象となり、再建は望めない。廃業が頭をよぎるが、時折、店先で何か考え込むような義母を見ると胸が詰まる。「早くなじみの場所で安心して生活させてあげたい」。未来を信じ、営業を続ける。

最終更新:4/17(火) 7:55
産経新聞