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熊本地震 「復興の酒」醸造本格化 新酒米「華錦」使い9蔵元の14銘柄店頭に

4/17(火) 7:55配信

産経新聞

 熊本酒造組合が、熊本独自の新しい酒米「華錦(はなにしき)」を使った日本酒を醸造し、発売にこぎ着けた。華錦は熊本県が開発し、平成28年度に醸造が本格化する予定だったが、熊本地震で酒蔵が被災し、生産に遅れが生じた。今回、組合所属の蔵元10社中9社が計14銘柄を販売しており、同組合や県は「復興の酒」として販路拡大に力を注ぐ。(谷田智恒)

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 熊本酒造組合の吉村浩平理事長らが3月23日、「華錦」から造った日本酒を持参し報告に県庁を訪れた。

 吉村氏は「生産態勢がようやく整った。組合に属する蔵元が、素晴らしい出来栄えの酒をつくった」と胸を張った。蒲島郁夫知事は「県としても完成を心待ちにしていた。復興を象徴する酒として全国へ売り出していきましょう」と応じた。酒蔵自慢の酒には「華錦」使用をPRするタグが取り付けられていた。

 華錦は、熊本県農業研究センター(合志市)が、酒米の代表格「山田錦」と、県の育成品種「夢いずみ」の人工交配によって、14年がかりで開発に成功した。ネーミングには、酒米の「華」となるよう、期待を込めた。

 華錦の特長の一つが、収穫量の多さだ。同センターによると、華錦の稲丈は約80センチで、約100センチの山田錦に比べて倒れにくく、約8%程度の収量増が見込めるという。粒そのものも大きい。「心白」と呼ばれる粒中心の白色不透明の部分も良好で、日本酒の醸造に適している。

 27年産から、作付けが始まり、同組合が全量を買い取って、28年度に酒造りが本格化する予定だった。

 だが、28年4月に熊本地震が起きた。

 吉村氏が経営する熊本市南区川尻の老舗蔵元「瑞鷹(ずいよう)」では、大小合わせた100棟のうち7割の建物が、被害を受けた。特に大型の木造建物などの損傷が甚大で、6棟が全壊、8棟が大規模半壊となった。他の蔵元も、大きな被害を受けた。

 華錦を使った酒造りの時期は、ずれ込んだ。

 蔵元は、中小事業者の復旧を公費で支援する「グループ補助金」などを活用して、施設復旧を急いだ。

 華錦の作付けも、熊本市や上益城地域を中心に広がった。作付面積は27年の8・5ヘクタールから、29年は30ヘクタールにまで拡大した。収量も、28年産の約82トン(1368俵)から、29年産は約149トン(2484俵)に増えた。

 「蔵元の華錦への人気は高く、全体で3300俵分の購入希望があった。希望の約75%しか応じられなかった」。吉村氏はこう語った。

 酒造年度(毎年7月~翌年6月)でみると、平成29年度(29年7月~30年6月)に華錦で仕込んだ県産酒は9酒蔵14銘柄となった。本格的に「華錦」銘柄として店頭に並ぶ。

 「純米吟醸雲雀(ひばり)」を発売した通潤酒造(山都町)の山下泰雄社長は「地元の酵母との相性も良く、味に膨らみのある酒になった。地震からの復興に向けて、世界に誇れる日本酒を生産するように、技術を磨きたい」と語った。

最終更新:4/17(火) 7:55
産経新聞