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<栃木・九石遺跡>土偶や矢じり発見 縄文時代の豊かな生活

4/17(火) 19:34配信

毎日新聞

 1990年に縄文時代の住居跡などが見つかった栃木県茂木町九石(さざらし)の「九石古宿遺跡」で、ほぼ完全な形の土偶やメノウを高度な技術で加工した石鏃(せきぞく、矢じり)が出土し、研究者らの注目を集めている。海水魚を捕るための釣り針も見つかっており、住民が沿岸部と交流をしながら豊かな生活を送っていた様子がうかがえるという。

 同遺跡は、茂木町の中心街から北に約4キロの山間部にある町指定史跡。90年から始まった調査で主に縄文時代中期~後期の土器や石器が見つかり、報告書が昨年刊行された。

 縄文時代の住居跡からは、高さ約14センチのミミズク土偶が出土した。県内でほぼ完全な形で土偶が発掘されたのは、後藤遺跡(栃木市)など数例しかない。町生涯学習課埋蔵文化財調査員の中村信博さん(55)は「初期的なミミズク土偶とみられ、頭部の装飾は当時の女性の結髪の一つの形であった可能性が高い」と評価した。

 また、別の住居跡では、近くで採集できるメノウを使った石鏃が見つかった。周辺には、メノウを割ったかけらが多数見つかり、住居内で石鏃を製作していたとみられる。メノウを加熱すると光沢が出る特性を生かし、石鏃の一部はつや出し加工が施されていた。

 縄文石器を研究する国学院大の大工原豊兼任講師(歴史学)は、高度な技術を持つメノウの石器製作集団が茂木町周辺にいたと考えている。つや出し加工は、茂木町や茨城県常陸大宮市の周辺のみで見られるといい、「同じ石鏃が群馬や千葉などで見つかっている。見た目も美しく、『ブランド品』として流通していた可能性がある」と話している。

 他にも、大型の海水魚を捕るための鹿角製の釣り針や、海水を煮詰めて塩をつくった痕跡の残る土器も出土した。釣り針は福島県いわき市周辺で見られるものだといい、当時約50キロ離れた沿岸部との交流があったことを示している。

 関東の特徴を持つ土器や東北の土器も出土しており、モノの交流が広範囲であったと考えられている。中村さんは「町にとって大変貴重な遺物が見つかった。県指定文化財を目指し、町のPRにも生かすことができる」と期待を寄せた。【野田樹】

最終更新:4/17(火) 21:31
毎日新聞