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茨城県庁17フロア大移動がまさかの引っ越し難民に それでも想定外のPR効果?

4/17(火) 10:17配信

産経新聞

 引っ越し業者が人手不足に陥った年度末。業者探しに泣いたのは、新天地へ向かう社会人や学生たちだけではなかった。水戸市笠原町にそびえる地上25階建ての茨城県庁も、庁舎内の引っ越し作業を業者に断られ、「引っ越し難民」となってしまった。新年度の業務を開始する4月2日に間に合わせようと、800人を超える県職員が休日返上で引っ越し作業に追われることになったが…。

 ■総勢800人を招集

 引っ越しは昨年9月、24年ぶりに新知事に就任した大井川和彦知事が断行した大規模な組織改編に伴うものだった。年度の切り替えとともに、これまでの9部局80課を11部局93課室・チームに改めるため、県庁の17フロアが引っ越しの対象になり、「旧県庁舎から今の庁舎に引っ越してきた平成11年以来」(県管財課担当者)の規模となった。

 発注した段ボールは1万5千枚に上り、各部署から延べ288人の「運搬作業員」を招集した。これに荷造り、荷ほどき、収納作業に当たる職員が加わり、総勢800人以上が引っ越し作業に携わることになったが、まだ正確な人数は明らかになっていない。

 組織改編の目玉の一つとして新設された「営業戦略部」。県の営業活動を一手に引き受ける同部には、農林水産部や商工労働観光部など別のフロアにあったさまざまな部署から職員が集まり、知事室があるフロアの1階下の4階に入ることになった。

 ■1月に依頼したが…

 県管財課によると、県は組織改編案の骨格が固まった1月上旬に引っ越し業者に相談したが、すでに遅かった。

 「一番忙しい時期なので、急に言われても作業員が確保できない」

 「どのフロアがどうなるかが決まってからでないと、見積もりを出すのも難しい」

 業者からは厳しい答えを返された県は、職員の手を借りて引っ越しを成し遂げることを決断。各部署から20~30代の若手職員を中心に288人をフロア間で物資を運ぶ“作業部隊”として集めた。それだけではなく、引っ越し対象の部署では荷造りして搬出する職員、荷ほどきをする職員も必要で、多くの県職員が休日出勤をした。

 本格的な作業が始まったのは3月30日の金曜日、通常業務が終わった午後5時45分。1班8人の12班がエレベーター12台と台車を駆使して、フロアからフロアへと段ボールを運搬。引っ越し作業に不慣れな職員が台車で壁を傷つけないように、台車の角にはクッションを取り付けるなど細心の注意を払った。作業は休日の翌31日も朝から始まり、夕方まで続いた。

 参加した男性職員は作業終了後、「段ボールの中身は公文書や資料などの紙が多いので、なかなか重かったですね…」と漏らした。移動のため、棚から取り外して立てかけておいたガラスが倒れて割れる事故もあったが、大きなトラブルはなかったという。

 管財課の担当者は「素人がやる引っ越しなので、正直心配していたが、エレベーターの大渋滞やけが人など危惧していたことも起こらず、無事に終わってよかった」と胸をなで下ろしていた。

 ■段ボールは再利用

 運搬作業は予定時刻より1時間ほど早く終了。4月1日も出勤し、新フロアで荷ほどきやデスクの配置などを行う部署もあったが、2日までに準備は整った。

 ちなみに引っ越しで使われた約1万5千枚の段ボールは役目を終え、県庁の地下倉庫の一角に山積みになっている。平成31年に開催される茨城国体の準備を進める国体・障害者スポーツ大会局が大会会場の各市町村に物資を送付したり、県立歴史館などで文書保管に使われたりする予定だ。今月中にも「注文」があった各部署に再び配られて再利用される。

 管財課によると、引っ越しに参加した職員の休日出勤については、時間外労働か振り替え休日で対応するという。「各部署でどれだけの人数が出たかがまとめられていない」(同課)が、業者に頼んだ場合と職員の人件費を比較した場合、果たしてどちらが高くついたのだろうか…。

 大井川知事は4月5日の記者会見で「引っ越し需要が集中している中、職員の手で無事に成し遂げた。管財課など引っ越しを企画したチームは素晴らしい仕事をした」とたたえ、県庁の引っ越しが全国的に取り上げられたことを満足そうにこう振り返った。

 「広告換算価値で大変な金額になるようなPRになった。茨城県のある一面を知ってもらう意味でも非常に良かったかな」

 5年連続で魅力度ランキング最下位に頭を悩ませる茨城県庁にとっては、想定外のPR効果があったようだ。(水戸支局 鴨川一也)

最終更新:4/17(火) 10:17
産経新聞