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畑ワサビ出荷再開 月舘特産“芽 絶やさない”

4/17(火) 11:38配信

福島民報

 福島県伊達市月舘町を代表する農産物で、東京電力福島第一原発事故に伴い出荷が制限されていた畑ワサビの出荷が再開された。16日、出荷再開式が行われた。出荷制限や高齢化に伴い、原発事故以降の7年で生産者は大幅に減った。「仲間は少なくなったが、再び消費者に喜んでもらえるよう力を尽くす」。関係者は畑ワサビの里の再生を誓い合った。
 穏やかな春の日差しを受け、青々とした畑ワサビの葉が揺れる。「この日を待ちわびていたんだ」。市内月舘町の斎藤昭七さん(85)はいとおしげに葉に触れた。苦労をともにした妻みち子さん(76)が傍らで軟らかな笑顔を浮かべた。
 花ワサビと葉ワサビの総称である畑ワサビの生産歴は40年以上に及ぶ。地元農協のワサビ生産部会が発足した時からのパイオニアだ。それだけに原発事故で出荷がかなわなくなった時の落胆は大きかった。
 「二度と作れなくなるのでは…」。不安がよぎった。だが、出荷再開の日を思い描き、努力を続けた。農地を整え、株分けを続けた。
 1年、2年、3年…。月日はたてども朗報は届かなかった。周囲の仲間は高齢化などもあって次々と再出荷を諦めた。斎藤さん方も原発事故前は4棟あったハウスを2棟に集約した。それでも気持ちを支えたのは、産地を支えてきた誇りだった。
 出荷できるようになるまで7年の歳月を要した。「これまで以上に質の高いワサビを育てたい」。2人は声をそろえた。この間の思いを目いっぱい畑ワサビに注ぐつもりだ。

■「一歩踏みだせた」生産者

 市内月舘町のJAふくしま未来伊達地区月舘共選場で行われた出荷再開式では、生産者の笑顔が広がった。引地秀樹JAふくしま未来伊達地区ワサビ生産部会長は「とても長かったがようやく一歩を踏みだせた」と語った。モニタリング検査を経て首都圏方面に出荷される。
 畑ワサビの里の再生には、克服しなければならない課題が残る。原発事故前は240戸で年間1億円ほどの出荷高を誇ったが、この間に生産者は12戸にまで減った。JAふくしま未来や市、県は連携して新たな農地を整備し、栽培を拡充できる環境を整える。
 収益の確保に向け、付加価値を高める取り組みをてこ入れする。月舘産の畑ワサビは他の産地よりも出荷時期が早く、原発事故前は50グラム当たり200円から250円と比較的高値で販売されていた。地元では香りと辛さを生かした加工品の製造も盛んだった。JAは首都圏の市場を中心に取引先の開拓を進めている。
 出荷再開を目指し、県農業総合センターや県県北農林事務所伊達農業普及所は月舘、霊山両町のうち放射性物質の影響を受けにくい農地で畑ワサビを栽培。昨年4、5の両月に採取した全ての検体で放射性セシウムは検出下限値未満か、食品衛生法の基準値(1キロ当たり100ベクレル)以下だったため、3月に出荷制限の一部が解除された。

福島民報社

最終更新:4/17(火) 12:31
福島民報