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脅しの条件に事欠かない米国の貿易戦争は意外と合理的?

4/17(火) 21:20配信

投信1

トランプ大統領の貿易戦争にはそれなりの合理性がある、と久留米大学商学部の塚崎公義教授が説きます。

韓国からは大きな譲歩を引き出した

トランプ大統領は、韓国との間でFTA(自由貿易協定)の再交渉を行って、大きな譲歩を引き出しています。韓国のウォン安誘導を禁じる条項を盛り込むなど、米国の圧勝と言える内容でした。

トランプ大統領は商売人ですから、交渉は上手です。韓国に対しては、「交渉決裂なら在韓米軍を引き揚げる」と脅したのが奏功した、とも言われています。

交渉においては、時として「交渉が決裂したら、俺はお前と喧嘩をする用意がある」という脅しが効きます。その条件は、相手が「こいつなら、本気で喧嘩をするかもしれない」と考えることですが、トランプ大統領ならば、相手にそう思わせることは容易でしょう(笑)。

今ひとつ、脅しが効くためには、「喧嘩になれば、俺は1痛いが、お前は10痛い目に遭う。どうする?」と聞ければ圧倒的に有利です。「喧嘩になれば、俺は100痛いが、お前は10痛い」という状況では、いくらトランプ大統領でも喧嘩はできないと相手に悟られてしまいますから。その意味では、「在韓米軍を引き揚げて韓国は守らない」というのは、非常に有効な脅しだったのでしょう。

対中国でも、脅しの効きやすい状況

トランプ大統領は、中国に対し、鉄鋼等の輸入関税に加え、知的財産権の侵害を理由に巨額の関税を課す予定です。それに対し、中国も一歩も引かず、とりあえず全面対決の姿勢を表面的には見せています。しかし、持久戦になれば、中国の打撃の方が大きいでしょう。

米国が中国から輸入を制限している品目は、知的財産権に関する中国の最先端技術に関するものが多いと言われています。中国が最も育てたい産業に関して米国向けの輸出が止まってしまうと、それらの産業の成長が阻害されかねません。

一方で、中国の対米輸入では、たとえば「中国が大豆の対米輸入をブラジル産に切り替えたら、ブラジル産大豆が急騰し、米国産大豆が急落したので、欧州各国が大豆の輸入先をブラジルから米国に切り替えた」といったようなことが起きているようです(笑)。これでは米国への打撃は限定的です。

さらに、今後事態がエスカレートして全面戦争になれば、明らかに米国の圧勝ですから、米国の脅しの条件は満載です。

米国は対中輸入額が巨額ですから、これを全面的に止めれば、中国への打撃は巨大です。一方で、中国の対米輸入額はそれほど大きくないので、米国の打撃は限定的です。

加えて、米国は対中輸入品を(若干コストは高いですが)自分で作れますから、雇用が増える可能性もありますが、中国は対米輸入品を自分では作れないので、日本や欧州等から買ってくる必要があります。というのも、中国が自分で作れるならば、わざわざ人件費の高い米国から今まで輸入していたはずがないからです。

そう考えると、中国は米国向け輸出を失うだけで国内生産と雇用が激減しますが、米国は対中輸出が減ったことによる雇用の喪失の一部を、対中輸入品を国産に切り替えることで、雇用の減少を最小限に抑えることができそうです。

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最終更新:4/17(火) 21:20
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