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不思議なほど折れない心 心臓カテーテルのトップランナーー三角和雄氏

4/17(火) 11:04配信

時事通信

ブランド物に興味なし

 「世の中に簡単な手術はない」と三角和雄氏は言う。毎年3000例のカテーテル治療をすべて無事に成功させるには、一瞬の油断も許されないと身を引き締める毎日だ。
 「『簡単』と言えば油断してしまう。難しいと思っている方が意外と合併症が少ない。用心しますから。何事も慎重に構えないと。決して横着と油断はいけない」
 しかし、張り詰めた毎日が続くと、さすがにストレスもたまるだろう。
 「天職なので全く苦にならないですね。それに僕は自分で言うのもなんですが、心折れないんです。自分でも不思議だけど、大変なことがあっても2、3年後には笑っているだろうと思える。もうやめた、嫌だって投げ出すということを一回もしたことがない」
 平日深夜と日曜朝の週2回、ジムで身体を鍛えるぐらいで、自分の時間は特にない。再婚した妻との間に1歳、3歳、6歳の娘がおり、家では子どもたちとの時間が癒やしになっているという。仕事中、『おとうさまとわたしは、とてもきがあいますね』と長女のメッセージが記載されたタンブラーカップを、うれしそうに持ち歩いている。
 病院のコストには注意を払うが、ブランド物には一切興味はない。腕時計は父親の形見で6000円程度。「ボロボロだったのでゴミ箱に捨てたら、不思議なことに自分の時計が動かなくなった。拾ってまだ使っています。おやじが『捨てるな』と言ってる気がして」。高級車にはもともと興味がなかったし、車は運転すると居眠りして危険なので、ずいぶん前に手放した。

病院全体の底上げ目指す

 「テレビに出るときのスーツは、見ていただくと分かりますが、いつも同じです。夏冬1着ずつしか持っていません」
 子どもたちにも、ほとんどおもちゃは買い与えないという。「どうせ飽きるし、捨てるだけだから。年1回、誕生日に好きなものを買ってあげるだけで、うちの娘たちは、おもちゃは自分で作る。トイレットペーパーでブレスレットや腕時計を、ゆで卵の殻で双眼鏡を作っていました。友達がディズニープリンセスのドレスを買ってもらったのを見て、色物のタオルを洗濯ばさみでくっつけて、自分でドレスを作ってました」
 好物はセブンイレブンのおでん。「あれ最高。本当ですよ」。
 単なるケチというわけではない。公益のために一定程度の私財を寄付した人に与えられる紺綬褒章を、2回も授与されている。
 「日本赤十字社に血液運搬車を寄付したり、歳末助け合いで寄付したり。日赤から血液をもらっているので個人的にやっています。米国人はよく寄付するし、昔、お相撲の大鵬さんがやっているのを聞いて、いいことだなと思って始めました。いくら寄付したかなんて覚えてない。お金はないと困るけど、ありすぎても争いのもとになる。持って死ねるわけじゃないしね」
 2017年8月下旬の午前1時。やや不似合な婦人物のトートバッグを下げて、三角氏が病院を後にする。「紙袋に入れてたら、破けちゃって、看護師さんがくれたんですよ」と笑う。
 今後取り組みたいことについて、三角氏は「循環器以外の分野でも医師に力をつけさせて、病院全体としての層を厚くしていきたい」と話す。嫌々引き受けた院長職にも「僕は負けず嫌いだから」。全力投球の毎日はまだしばらく続きそうだ。(ジャーナリスト・中山あゆみ)

最終更新:4/17(火) 11:04
時事通信