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プラスチックを「食べる」酵素に賭ける リサイクルの未来

4/17(火) 18:44配信

BBC News

メアリー・ハルトンBBCニュース科学記者

環境汚染の深刻な原因となっているのが、プラスチックごみだ。そのプラスチックを分解するため、英ポーツマス大学の研究チームが自然由来の酵素の改良に取り組んでいる。

ペットボトルの原料ポリエチレンテレフタラート(PET)は、自然環境下では分解されるのに何百年もかかる。しかし、日本の科学者が発見したPETaseと呼ばれる酵素は、PETをわずか数日で分解し始める。

これはプラスチックのリサイクル工程の改革につながる可能性がある。プラスチックが、より効率的に再利用できるようになるかもしれないのだ。

英国の消費者は毎年130億本のペットボトルを使うが、30億本以上がリサイクルされていないのが現状だ。

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ごみの中から発見PETaseは、日本の科学者チームが発見したPETを「食べる」細菌から生成される。

イデオネラ・サカイエンシスと名づけられたこの細菌はプラスチックを主なエネルギー源としている。

2016年発表の報告書によると、この細菌は大阪府堺市にあるリサイクル施設のごみの山から発見された。

「PETが圧倒的な量となったのはここ50年ほどのことです。バクテリアが人工物を食べるよう進化するには、そう長くない期間です」と、現在この研究に関わる英ポーツマス大学のジョン・マギーハン教授は話す。

PETが属するポリエステルという物質自体は、自然界で発生する。

「ポリエステルは植物の葉を保護しています。バクテリアは何百年もかけて、ポリエステルを食べるよう進化してきました」

それでもPET分解への分岐は「きわめて意外なこと」で、PETaseがどのような進化をたどってきたかの解明に、国際的な科学者チームが着手した。

プラスチックを食べる英オックスフォードシャーにあるシンクロトロン施設「ダイヤモンドライトソース」は、強力なX線照射によってPETaseの高画質3Dモデルを作り上げた。

構造を把握した次には、PETase表面の残留物を調整すれば酵素の効き目が向上することに研究チームは気づいた。

つまり、自然界のPETaseはまだ完全に最適化されておらず、人工的な操作の余地が残されていることになる。

研究チームはさらに、PETの代替品とされる植物由来のポリエチレンフラン・ジカルボキシレート(PEF)というプラスチックに対しても、PETaseを使ってみた。PEFも、自然界での分解に時間がかかる。

マギーハン教授はBBCニュースに対し、「この実験結果は衝撃的でした。PETaseはむしろPETよりPEFに対して、効力を発揮したので」と語った。

リサイクルの輪を閉じる石油から工業的に作られるポリエステルは、ペットボトルから衣服まで幅広く使用されている。

現行のリサイクル工程の結果、ポリエステル素材は徐々に劣化する。ペットボトルがフリースになり、じゅうたんになり、最後には埋立地へと送られる。

一方で、PETaseを使う場合の変化は劣化ではなく、ポリエステルの製造工程を原材料段階まで逆行することになる。そのため、素材は再利用が可能となる。

「ポリエステルを素材まで戻せば、その素材はまたプラスチック製造に使えるようになる。と同時に、石油の利用を減らすことができるかもしれません。(中略)そして、我々はリサイクルの輪を閉じることになります。本当の意味でのリサイクルの実現です」とマギーハン教授は説明する。

PETaseの大規模な利用が可能になるには、まだ数年かかる見通しだ。大規模なリサイクル過程の一環として経済性を獲得するには、現状で数日かかるPET分解の速度を加速させる必要がある。

マギーハン教授は、これがプラスチック管理の転換点の始まりになると期待している。

「一刻も早く、埋立地や自然界に到達するプラスチックの量を抑える必要があります。PETaseを使った技術を活用できるようになれば、将来的にひとつの解決策になる」

(英語記事 Recycling hope for plastic-hungry enzyme)

(c) BBC News

最終更新:4/17(火) 18:52
BBC News