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別府に支社を作ったら、別府も緩やかに変化する――移住と仕事の相乗効果:UIターンの理想と現実(大分編)

4/18(水) 7:00配信

@IT

 「fuzz 別府支社」の安達です。大分県大分市出身で、2016年の別府支社立ち上げとともに東京からUターンしました。

別府の猫 その3

 「U&Iターンの理想と現実:大分編」、第1回「東京のゲーム会社が『別府』で歓迎された理由――温泉Tシャツで知事と握手!」は、長の對馬より、fuzzの成り立ちや会社のポリシー、別府支社がなぜできたのかを、第2回「蛇口をひねれば温泉が!――別府で働くゲームプログラマーのリアルなエンジニアライフ」は、私が別府のエンジニアの日常、よくある疑問への回答、そして別府の温泉の素晴らしさを紹介しました。

 今回は前回から一歩踏み込んで、別府へ移住したいときに参考になる、より具体的な情報をお伝えします。

●公共の移住支援制度

 別府市には、さまざまな公共の移住支援制度があります。

・Webサイト

 別府市のWebサイト「別府市移住支援|別府市」は情報が充実しており、移住に関するパンフレットなどを全てダウンロードできます。

 特に「別府に移住された方の体験談」が、面白くて参考になると思います。個人的には日本一周して移住先を別府に決めた方のエピソードが印象深いです。

・お試し移住制度

 別府ならではの支援制度の1つが、別府移住を考えている方向けの「おためし移住施設、『フロムーン別府ハウス』」です。

 温泉付きの一軒家が、1泊「5400円(税込み)」。5泊以上10泊以内で泊まれ、「別府移住体験」感覚で利用できます。

・移住サポーター

 別府市役所の方々は、移住にとても協力的です。分からないことがあれば、別府市役所に電話して相談してみるとよいでしょう(参考リンク:別府市役所 各課連絡先)。

●移住サポーターインタビュー

 移住のサポートをしているのは、役所だけではありません。民間にもさまざまな方々がいらっしゃいます。その中のお一人、創業&起業をサポートする施設「Alliance Social Share Office Beppu」の宮井智史さんにお話を伺いました。

安達 宮井さんは別府への移住支援や起業支援などをされていますが、具体的にはどのようなことをされているのですか?

宮井 さまざまな支援活動をしています。最近は「移住ドラフト会議」に参加しました。「こういうことで起業したい」「こういう場所に住みたい」と考えている移住希望者に、いろいろな地方がプレゼンし合うイベントです。


安達 移住支援で心掛けていることは、ありますか?

宮井 僕は「移住支援」とは「どこか別の場所に住みたい人が本当に満足できる場所を紹介して差し上げられること」だと考えています。

 移住ってそんなに簡単に決められることではないですよね。だから移住希望者は、「取りあえず遊びに来る」でいいと思います。


安達 遊びに来る感覚で移住を考えるというのは面白いですね。ただ、遊びに来てみて良い場所だったとしても、移住となると仕事の問題が出てきますよね。

宮井 はい。仕事がないところにいきなり移住するのは、普通は無理です。移住には必ず就職を結び付けないといけないと思います。

 例えば、そこにいらっしゃる方(インタビューしていた場所の近くの席で作業されていた方)は、建築系の仕事に従事されていて、Uターンで別府に帰ってきたのですが、今度長野県に行かれるんです。


安達 なぜ、長野に行かれるのですか?

そこにいた人 長野に仕事があったので、行くことにしました。

安達 なるほど。やはり仕事は重要ですね……。

 宮井さんは、移住と就職を結び付けるためにどのようなことをされているのですか?

宮井 正直、かなり難しいです。その人がやりたい仕事が別府にないことも多いので。

 対策は幾つかあります。例えば、「職種はこだわらないから仕事が欲しい」方向けには、古くから別府にあるお店の跡継ぎ職を紹介するようなことも考えています。

 起業支援も行っています。Alliance Social Share Office Beppuに集まっている人たちはさまざまなスキルを持っています。そのスキルを組み合わせて新しいものを作ったり、お互いに仕事を与えあったりもしています。

 簡単な仕事でもいいので別府で気軽に働ける場があれば、「仕事ついでに別府に遊びに行く」こともできるようになります。「移住しないといけない」ではなく、まずは「小さなことから別府に来てもらう」ようにしていくことが大事だと考えています。


安達 別府に移住してみたい人は、宮井さんに相談してもいいのでしょうか?

宮井 もちろんです。北海道の方から相談されたこともあります。「起業に関して知りたい」でもいいですし、「温泉について知りたい」でもいいです。僕は温泉の知識はそんなにありませんが、別府にたくさんいる温泉名人を紹介できます。

 専門家や経験者を紹介するなどのさまざまなアプローチがありますので、ご相談いただくのは大いにウエルカムです。

 一緒に飲み行きましょう!

●別府に支社を作ったら、別府も緩やかに変化する

 今まで別府にはゲーム会社がなかったので、別府に支社を作った時点でfuzzは、「別府でオンリーワンな会社」になりました。

 このように「今までは存在しなかった会社や支社」ができると、地域にさまざまな変化が起きると私は考えています

・U&Iターンを考えている人たちの仕事の幅が広がる

 宮井さんも話されていたように、U&Iターンするのは「その地域に仕事を見つけた人」です。

 移住をしたくても、仕事がなければ移住を断念してしまいます。でも「別府にゲーム会社がある」と、今まで別府に移住できなかったゲーム関連の職業の方々の移住の可能性が高まります。

・地域の学生に、今まではなかった経験を与えられる

 都会の学生は近くにさまざまなジャンルの会社があるため、インターンやアルバイトなどで希望の業種や職種の職業体験をする機会が多くあります。

 しかし地方では、例えばゲーム業界に興味のある学生は「職業体験的なこと」が気軽にはできませんでした。どうしても経験したい場合は、都会のゲーム会社に泊まり込みでインターンに行くなどしないと難しかったでしょう。

 fuzz別府支社は、ゲームプログラマーのインターンを実施したり、ゲームテスターのアルバイトを採用したりしてきました。このような求人は、今まで別府にはなかったはずですし、大分県内でも過去に少しあったくらいではないかと思います。

 今までになかった職種や業種の求人が生まれれば、地域の人は新しい経験をする機会を得られます。それは、新たなスキルの土壌が地域に生まれることにつながります。

・地域貢献

 前回の記事で、別府に帰ってきてから温泉巡りや彼女作りにチャレンジしたことを書きましたが、地域の若者や子ども向けの教育活動なども行ってきました。

次世代向け教育活動としてやってきたこと
・大分高専の非常勤講師
・小学生向けワークショップで小学生と一緒にクロスワードパズルを作る
・県内の学校でゲーム業界を目指している学生の進路相談に乗る

 これらは会社の仕事ではありませんが、積極的に行ってきましたし、これからも(本業との時間が合えば)やっていきたいです。

 理由は、教育したり、ゲームを作る楽しさを教えたり、現場の経験を語ったりすることが、地域の子どもや若者たちの刺激になるのではないかと思うからです。

●何となく別府に支社を作ってみて

 別府に支社を作った最大の利点は、「何より都会より住み心地がいい」ことでした。

 会社の在り方として、「より社員が住みよい場所に会社を作る」のは、会社を継続していく意味で大事です。インターネットさえつながっていれば仕事ができる職種であれば、なおさらです。いろいろな業界の人に別府に支社を作ってほしいです。

 一緒に温泉に入りましょう!

●筆者プロフィール

「fuzz」別府支社 支社長 安達圭司
大分高専を卒業後、福岡で6年間ゲーム会社に勤務。その後東京で1年間フリーランスとして活動したあと2016年に地元大分へUターン。
日々、別府温泉を堪能しながらゲーム作りにいそしんでいる。

最終更新:4/18(水) 7:00
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