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個人情報集めて広告ビジネス 寡占状態に

4/20(金) 14:01配信

ニュースソクラ

米四大IT企業、GAFA の転換点

 米国経済の成長をリードしてきたテック企業群の頭文字であるガーファ、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)がいろいろな意味で転換点に差し掛かっている。

 ご承知のように、GAFAがマスコミをにぎわすような不祥事が増えている。

 まずフェースブック(FB)の個人情報流出問題である。FBが英国の分析会社ケンブリッジ・アナリティカ社に研究目的でデータを提供した。それがトランプ大統領の出馬した2016年の大統領選に不正に利用されてトランプ候補が有利になるようにユーザー情報を使った疑惑である。

 最終的には8,700万人に及ぶ個人情報流出につながった。FBのザッカーバーグCEOの謝罪・対応が遅れたことと相まって激しい批判を生み出した。

 さらにトランプ大統領がツイッターで「アマゾンは税金を払っている小売店に大きな被害をもたらしている。多くの仕事を失わせている」とアマゾンを痛烈に批判した。言うまでもなく、中間選挙を控えて選挙を左右する多くの小売業者の集票を狙った対策である。

 もっとも、アマゾン創業者のペゾス氏はかなり前からトランプ大統領と対立していた。またベゾス氏は、厳しい批評によりトランプ大統領の怒りを買い続けてきたワシントンポスト紙を買収してオーナーとなっていることも響いた。

 GAFAには入っていないが、自動車分野の旗手といえる電気自動車(EV)メーカーのテスラが3月31日、自動運転中にドライバーが追突事故で死亡するという惨事を引き起こした。シリコンバレーとサンフランシスコを結ぶ幹線道路での事故であったので、自動運転の公道実験を許可しているカリフォルニア州の対応も注目される。

 なお、この事故の前にウーバーも自動運転中に人をはねる死亡事故を起こしている。ウーバーでは創設者がハラスメントで批判されてCEOの地位を追われている。

 向かうところ敵なし、であったGAFAにも影が差してきたように思われる。従来、ユーザーたる個人がFBやグーグルにしてもユーザーから利用料を取らない、ただで便利、ということからGAFAに対する批判に対して寛容であった。

 しかし、FBの個人情報流出事件が意味するのは、利用料無料と引き換えに引き渡したユーザーの個人情報の価値が貴重であるということだ。FBの巨額の広報収入の源泉が個人情報であり、いわば個人情報と引き換えに無料利用となっているわけだ。

 利用者が認識する以上に自分の情報価値が高いということに気づいていない、という非対称性を利したビジネスモデルとなっているとも言える。

 ユーザーに加えて政府、米国議会も概してGAFAには甘かった。とくに民主党ではオバマ前大統領を筆頭に、テック企業の高い将来性が米国経済にプラスに働く、と考えてテック企業の独占・寡占化傾向や税金逃れ、個人情報の集中などの批判に寛容であった。彼らのワシントンに対する献金やロビイスト活動が金融業界をもしのぐという政治的影響力も無視しえないであろう。

 しかし、まずこの問題に敏感であったEUが個人情報保護に動き出した。また、EUならびに欧州各国は、多額の売り上げを上げている欧州でも売り上げに応じた適正な税金を払え、と要求し始めた。

 マーケットの見方が今後どうなっていくかも注目材料だ。3月31日までのたった二週間でテック5社(GAFA+マイクロソフト社)の時価総額は2,800億ドルも失われた。独り勝ちを続けてきたGAFAに対する一般大衆の怒りの高まり、テックブームの終焉に対する恐怖が、株式市場における強気相場そのものへの脅威となっている。

 FBだけで時価総額は一時、700億ドル下落し、ザッカーバーグCEOは個人としてのFB持ち株の時価が一時100億ドル、邦貨換算で1兆円強下落した。

 FBならびにグーグルは現在の株価は、その高収益性に比べて割安である。この点がアマゾン、ネットフリックス、テスラなどの株価が現在の収益力見合いでなく、高い将来性に賭けて買われているのとは事情が大きく違う。

 これは偶然ではなく、彼らのビジネスモデルがいつまでも快適な状態にいられるかどうかマーケットが懸念しているためともいえる。両社ともインターネット上で人々がどう振舞うかを注意深く観察したうえ、計算され尽くしたターゲットに絞った広告を展開するという同じビジネスモデルに依拠している。

 とくにFBについては今回のようなデータの不正利用が起こった場合、アップルのクックCEOも「FBが個人のプライバシー侵害を起こしていた」と徹底的批判を繰り広げたように、ビジネスモデル自体が危機に陥ることは自明であった。今回の事件を機に新しい規制が導入されてデータ収集に依存した広告のあり方は見直される可能性もある。

 筆者は、これまでもテック企業が競争相手となりそうな企業をM&Aで自陣に引き寄せることなどを通じて独占・寡占が強まっていること、FRBによる超金融緩和が続く中で実態とかけ離れた株価が形成されていること、などについて批判を展開してきた。

 しかし、勘違いしてもらっては困るのは、米国のテック企業が米国のみならず、世界経済の牽引役を果たして我々の生活をより便利に、豊かにしてくれた事実を否定しているわけではない。今後、GAFAが独禁法上の公正競争を意識し、納税意欲を高め、個人情報保護を意識することになれば、株式市場からの評価も正常なものに移行する転換点となろう。

俵 一郎 (国際金融専門家)

最終更新:4/20(金) 14:01
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