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録音禁止ルールは誰を守るのか 記者とセクハラ、音声データ提供の是非は

2018/4/20(金) 17:17配信

BuzzFeed Japan

「取材活動そのものに支障が出る」

無断録音や音声データ提供を問題視するメディアもあった。

産経新聞は19日の朝刊で、「データ社外提供、過去にも問題」との見出しで、「一般的に『隠し録り』という取材手法や、他媒体に情報を提供する行為は通常の報道活動とは異なるものだ」と説明。オウム事件の弁護士一家殺害事件など、ビデオや音声データを社外に提供したケースはいずれも「報道姿勢が問われる事態になった」と書いている。

読売新聞も、「テレ朝『録音提供 不適切』」との見出しで、報道倫理に詳しい元通信社記者の春名幹男・元早大客員教授の「取材で得た情報が自らの報道目的以外に使われたことで、今後、記者が取材先から信用されなくなり、取材活動そのものに支障が出るおそれがあるのではないか」というコメントを掲載した。

一方、セクハラ被害に詳しい弁護士たちは19日、「会話の録音は身を守るために必要な手段だった」「やむを得ずとった手段だった」との認識を示している。

元毎日新聞記者の上谷さくら弁護士はBuzzFeed Newsの取材に、こう話す。

「無断録音も音声データ提供も、報道倫理が問われる可能性はありますが、違法性はありません」

取材時の録音にルールはあるのか

そもそも、記者が取材中に録音をするときには、どんなルールがあるのか。

テレ朝によると、福田氏からセクハラ発言があったのは、取材のために1対1で飲食をしていたときのことだ。

記者は、取材対象から公式の会見などでは聞けない深い情報を聞くために、早朝や夜に取材対象の自宅に行ったり、1対1で食事をすることがある。「夜討ち朝駆け」などと呼ばれるごく一般的な取材活動だ。

他社が得ていない特ダネ情報を得るためには、1対1での取材も多くなる。その際、「オフレコ(オフ・ザ・レコード=記録禁止)」と呼ばれるルールが適用されることがある。

オフレコといっても、いろいろある。録音禁止や公表禁止、「情報元を明らかにしなければ一部引用可」など取り決めを個別に交わすこともあるが、現実的にはこれらのルールが取材で事前に明言されることは少ない。雰囲気で「オフレコ前提」となることも多い。

2013年7月に過労死したNHK首都圏放送センターの記者、佐戸未和さん(当時31)は母親に、メモや録音がとれない取材の大変さを漏らしていた。

ーー取材先との酒に付き合うことが多かったが、そこで得た情報を忘れずすぐ報告できるよう、宴席後は酔いを冷ますために喉に指を突っ込み、トイレで吐く。それを日々、繰り返す。いつの間にか、その指には「吐きダコ」ができていた、という。

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最終更新:2018/4/20(金) 18:11
BuzzFeed Japan

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