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特ダネのためにすり減った私。記者たちの #MeToo

4/21(土) 16:06配信

BuzzFeed Japan

テレビ朝日が、女性社員がセクハラを受けていたと公表した会見。情報がほしい、もっと近づきたいという思惑が負い目となり、取材活動を通して記者が受けてきたセクハラは表面化してきませんでした。でも、変えなければ。6人の記者が、実態を話してくれました。【BuzzFeed Japan / 小林明子、伊吹早織、貫洞欣寛、籏智広太】

こんな処世術、なくなるといいなあ

凶器に使われた刃物の柄は、どんな状態だったのか。

絶対に他社に特ダネを抜かれたくない。そのために、女性は深夜のホテル街にいた。ほどよく酔っ払った警察幹部の男性と、ホテルに入る入らないで腕を引っ張り合い、押し問答をしていた。

「こんなネタのために、私、何やってるんだろう...」

財務省の福田淳一事務次官から女性社員がセクハラを受けたと、4月19日未明にテレビ朝日が記者会見で発表した。ある民放局の女性記者Aさんは、ふたをしていたはずの数年前の体験が脳裏に蘇り、会見を冷静に見られなくなった。

過去と向き合い、後輩記者たちが自分と同じ目に遭わないよう、報道の現場を変えたい。そんな思いから、BuzzFeed Newsに経験を話してくれた。

「見えない女子枠」があった

当時、配属されたのは、社内でも花形である警視庁記者クラブ。配属後の「1カ月ルール」というものがあり、1カ月以内に特ダネが取れなければ「飛ばされる」と聞いていた。

担当チームで、女性記者は1人だけ。Aさんは女性記者から引き継ぎを受け、女性記者に引き継いだ。そこにはきっと「見えない女子枠」があったのだ。

Aさんは、事件取材をしたいわけでも、特ダネを取りたいわけでもなかった。テレビ局に入社したのは、ドキュメンタリーを制作したかったから。事件取材で頑張って実績を出せば、次のチャンスがもらえるはずだと信じていた。

実際、独自ネタをとったら、それを元に番組の企画枠を担当させてもらえた。目の前にぶら下げられた小さなごほうびが、Aさんをプライベートがほとんどない取材活動に駆り立てていった。

「もうレース感覚ですね。その日その日の運動会で、1位を取ろうと必死でした」

同時に、もう一人の自分が常にささやいていた。

「このレースのルールは、本当に公正なの?」

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最終更新:4/21(土) 16:06
BuzzFeed Japan