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「電車修理代を稼がなくちゃ」から12年 再度の危機脱した銚子電鉄はいま

4/22(日) 7:11配信

乗りものニュース

副業「ぬれ煎餅」の収入で危機回避

 しょうゆの醸造で有名な千葉県銚子市内を走る銚子電鉄。JR総武本線の終点・銚子駅から関東最東端の犬吠埼付近を通り、漁港がある外川までを結んでいます。全長わずか6.4kmのローカル私鉄ですが、あることがきっかけで全国的にでも大きな話題になりました。

【写真】銚子電鉄に誕生した「髪の毛が生える駅」

 2018年4月13日(金)の午後、銚子駅から外川行きの列車に乗りました。2両編成の乗客は50人ほど。そのほとんどは家路につく高校生ですが、観光客らしき客も見られます。少ない人数ではありませんが、鉄道の利用者数としては多いとはいえません。

 列車は15時54分に発車。10年以上前に乗ったときは揺れが大きかったように思いましたが、今回は強い揺れを感じることはありませんでした。速度が最高でも40km/hと遅いせいもありますが、近年の車両の更新や線路の改修などで改善されたのでしょう。

 終点の外川駅には16時13分に到着。列車から下りた客の何人かは、古びた木造駅舎にカメラを向けています。いまとなっては珍しいレトロ感あふれる木造駅舎で、手入れも行き届いている様子。銚子電鉄のレトロな施設自体が、銚子の観光資源のひとつになっているといえます。

 銚子電鉄は利用者の減少などで、過去幾度となく経営危機に見舞われています。これまでは、たい焼きや銚子名物「ぬれ煎餅」の製造・販売など、副業の収入で鉄道の赤字を埋めてきました。

 しかし、2006(平成18)年には元社長が会社の借入金を横領した事件の影響で、運転資金が不足。事件が事件だけに自治体などからの補助も受けられず、車両の法定検査を行うための費用を捻出できない状況に陥ってしまいました。

 このままでは列車を運転できなくなる……銚子電鉄は同年11月、公式ウェブサイトに「電車修理代を稼がなくちゃ、いけないんです」と題した記事を掲載。会社の危機的な状況を切々と語り、ぬれ煎餅の購入などによる支援を広く一般に呼びかけました。

 鉄道会社の異例ともいえる呼びかけは、インターネットの掲示板やブログなどで話題になり、ぬれ煎餅の売り上げも急増。生産が追いつかず、一時は販売を中止するほどまでになりました。これにより車両検査費用のめどが立ち、当面の危機を脱したのです。

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