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トヨタ、SUBARUとスポーツカー「86」の次期モデルを共同開発

4/23(月) 17:04配信

ニュースソクラ

地元紙・中日が異例の報道

 中日新聞と東京新聞が2018年4月3日付朝刊で「トヨタ、次期86開発着手」という短い記事を載せた。トヨタ自動車とSUBARU(スバル)が人気のスポーツカー「トヨタ86(ハチロク)」と「スバルBRZ」の後継モデルを共同開発するとの情報はこれまでも自動車雑誌などであったが、一般紙が報じるのは異例で、破格の扱いともいえる。しかも、トヨタの地元である中日新聞の報道とあって、信憑性が高く、ファンの間で反響を呼んでいる。

 中日新聞が報じた記事の全文はこうだ。
 <トヨタ自動車が、小型スポーツカー『86(ハチロク)』の次期モデルの開発に乗り出したことが2日、分かった。SUBARU(スバル)と共同で開発し、同社の群馬製作所(群馬県太田市)で生産する。2021年をめどに発売する予定だ。
 現行型は手頃な価格で本格的な走りを楽しめることから愛好者も多い。走行性能などを高めた次期モデルを投入し、新規客の獲得や企業イメージ向上につなげる。
 エンジンの排気量は現行型よりも400cc大きい2400ccにする方向だ。低重心でカーブを安定して曲がれるなど、運転の楽しさを訴える。スバルブランドの兄弟車は「BRZ」として販売する。>
(4月3日付中日新聞朝刊。ネットでは2日20時29分配信)

 トヨタ86とスバルBRZは兄弟車として2012年にデビュー。スバル独自の水平対向4気筒エンジンをエンジンルーム後方に低く搭載し、後輪を駆動するフロントミッドシップレイアウトのFRスポーツとして、日本国内だけでなく、北米や欧州市場でも人気を呼んでいる。企画とデザインはトヨタ、開発と生産はスバルが行う共同開発車として、初代モデルは成功を収めたが、次期モデルがどうなるか。再びトヨタがスバルと組み、水平対向エンジンを採用するのか――などはヴェールに包まれていた。

 自動車雑誌には、これまでも次期86/BRZをめぐる観測記事が何度も載っているが、信憑性は今ひとつだった。筆者は2017年11月の東京モーターショーのプレス向け公開日にスバルの技術担当の最高幹部に単独取材し、トヨタとスバルが次期86/BRZを共同開発中であることをつかんでいたので、今回の中日・東京新聞の報道に特段の驚きはない。

 昨秋、スバルの技術担当の最高幹部は、筆者の質問にトヨタとスバルが次期86/BRZを共同開発中であることを素直に認めた。「搭載するのは引き続き、スバルの水平対向エンジンか?」との筆者の質問に、最高幹部は「その通り」と答えた。「次期86/BRZをファンは期待して待ってよいか?」との質問には、笑みを浮かべながら、「もちろん、期待して待ってくれてよい」と自信たっぷりだった。「発売時期は? 2020年ごろか?」との質問には、「さすがにそれは答えられない。企業秘密だ」と苦笑していた。

 筆者の最大の関心は、トヨタが次期86を開発するとしても、スバルの水平対向エンジンを使うのか否か。世界の乗用車メーカーで水平対向エンジンを生産するのは独ポルシェとスバルだけだが、高性能ながらコストがかさむ水平対向エンジンをトヨタが使い続ける保証はないからだ。しかし、その疑問は氷解した。

 筆者は2018年3月、別のスバルのエンジン開発の幹部エンジニアにも質問し、次期86/BRZの水平対向エンジンの開発が進んでいることを確認している。この時は「エンジンの排気量が現行の2リッターから変わる可能性がある」との情報を得た。「6速マニュアルミッションも残る」という。一部の雑誌が報じるハイブリッド化の真偽は確認できなかった。この時、筆者は1.6リッターへのダウンサイジングを予想したが、中日・東京新聞によると、2.4リッターに拡大するようだ。メインマーケットとなる北米市場をより重視した排気量とするのだろう。

 中日・東京新聞は「次期モデルの開発に乗り出した」と書いたが、実際には少なくとも昨年から、トヨタとスバルが開発に着手しているのは間違いない。

 トヨタは独BMWと組み、フラッグシップとなる高級スポーツカー「スープラ」を開発中で、3月のスイス・ジュネーブモーターショーでコンセプト車を初公開した。トヨタは高級スポーツカーをBMW、若いサラリーマンでも手が届く安価なライトウェイトスポーツカーをスバルと組んで開発する2方面作戦をとっている。次期86/BRZのコンセプトカーの登場は当分先となりそうだが、次期モデルを期待して待ってよいようだ。

岩城 諒 (経済ジャーナリスト)

最終更新:4/23(月) 17:04
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