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刑務所内でのヒエラルキー、刑務官との軋轢…元受刑者が抱える塀の中の“ストレス“

5/4(金) 11:56配信

AbemaTIMES

 松山刑務所大井造船作業所(愛媛県今治市)から脱走した受刑者の平尾龍磨容疑者が22日ぶりに広島市で逮捕された。

 大井造船作業所は、“仮釈放間近“といわれる模範囚が集められる施設で、平尾容疑者も残りの刑期が半年になっていた。それに関わらず脱走したのは「刑務所の人間関係が嫌になった。あと半年で出所できることは分かっていたが、それでも辛かった」からだという。

 刑務所内の“人間関係“について、合計12年間服役した元受刑者の鈴木博氏(仮名)は、「人間関係は難しい。刑務所の中では足を引っ張り合うことも多い。自由がなく、ストレスが溜まる生活なので、何か面白いことはないかということで、弱い者をいじめる。気にいらないからと揚げ足を取ることもよくあるし、いじめようというのもある。刑務官に気づかれないよう、顔以外を殴る。ご飯を取り上げるというのもある。集団リンチもあるし、見張り役がいて、リーダー格みたいな人がいることもある。刑務官もいじめを把握はしているとは思うが、慣れている人(受刑者)が多いので、分からないようにやっている。現認ができないと、懲罰を与えることができない」と話す。

 刑務所での一日のスケジュール例を見ると、17時から夕食、17時半から21時までが自由時間、21時に消灯、就寝となっている。

 「トラブルが起きやすいのは自由時間だ。些細なことでトラブルになるのが日常茶飯事。新聞をめくっていて、それでテレビが見えないということでケンカになったこともあった。一部屋に何人もいるので、トラブルがあると否応なく巻き込まれる。私はなるべく人に関わらないようにしていた。背中を向けて本を読んだり何かを書いたりして、何とかやり過ごしていた。孤立しすぎると目をつけられるので、あとはもうバカになるしかない。バカ話をする」。

 全国の刑務所に勤務したことのある出口保行・東京未来大学教授「刑務所も一つの社会であることには変わらない。会社組織と同じようなところがたくさんあって、反りが合う人間、合わない人間が当然いる。それでも強制的に一緒にいなければならず、離脱することも許されないので、受刑者たちには強いストレスがかかっている」と説明する。

 鈴木氏によると、受刑者間には自然とヒエラルキーができるのだという。「トップに立つのは暴力団。どこに所属していたという看板がある人は一目置かれる。有名な事件の受刑者も一目置かれていて、最下層は性犯罪者」。

 出口氏は「ただ、どこの工場に配置するのかなどは、その人の能力やパーソナリティ、どういう犯罪をしたのかを総合的に勘案する。性犯罪者は弱いタイプの人間が多く、多人数の集団に入れると崩壊してしまうので隔離することはあるが、ヒエラルキーだけで決めているわけではない」と説明した。

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最終更新:5/4(金) 11:56
AbemaTIMES