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進まぬ職場のメンタルヘルス対策、管理職の対応が企業の損失を決定づける

5/5(土) 19:24配信

ニュースイッチ

同じ労働環境でもストレス因子は異なる。医療介入も視野に

 近年、メンタルヘルスの不調を原因に、休職や離職に至るケースが問題になっている。ストレスの原因とされる毎日の残業や長時間労働の解消に向けた議論がされるが、職場環境の改善にはなかなかつながらない。改善が進まない中、企業の管理者が従業員のメンタルヘルスの不調に直面したとき、どう対応するのが適切なのかはあまり議論されない。企業は従業員のメンタルヘルスにどう向き合うべきなのだろうか。

 東京大学社会科学研究所の石田浩教授らの調査で、労働時間や人間関係などの職場環境が、メンタルヘルスにどの様に影響するのか、関係性が明らかになった。

 2007年から17年まで、20-40歳代の男女を対象に11回行われた追跡調査では、長時間労働や残業の慢性化、締め切りに追われることが男女ともにメンタルヘルスに負の影響を与えることが明らかになった。

 一方、職場に助け合いの雰囲気がある場合はメンタルヘルスに良い影響を与えることも分かった。

 データの分析を行った同大の藤原翔准教授は、メンタルヘルスへ正または負の影響を与える因子が同時に存在する場合、互いの効果は「相殺される」としつつ、「助け合いの雰囲気がメンタルヘルスに良い影響を与えても、長時間労働や残業が慢性化するのであればメンタルヘルスは悪化する」と指摘する。

 職場環境がメンタルヘルスに関係していることがデータとして示されるなか、精神科専門医で認定産業医の渡辺洋一郎氏は「本人の生まれつきの体質や、パーソナリティーの関連も見過ごしてはいけない」と強調する。

 同じ労働環境でも、メンタルヘルスに不調をきたす人もいれば平気な人もいる。

 不調になった従業員にとって、人間関係や仕事量の負荷といった職場の環境因子が大きなストレスになっているのか、または本人のもともとの体質やパーソナリティーが原因の多くを占めるのかで、解決の道筋は異なる。これらの原因を早期に見極め、適切に対応することが重要だ。

 従業員に対する安全配慮義務の観点から、管理職はメンタルヘルスに関する研修を受けることが義務付けられている。こうした取り組みが進んでいるものの、「従業員のメンタルヘルス不調を認めたときにどう対応すべきか、実行性のある内容ではない場合が多い」と渡辺医師は指摘する。

 例えばミスをした部下が、当たり前の反応として落ち込んでいるのか、不向きな仕事を強いられることによって「適応障害」を発症した状態なのか、または鬱(うつ)状態であるか、一見して見極めることは難しい。

 しかしここで問題なのは、管理者が原因を特定できないことではなく、メンタルヘルスの不調が「医療的な介入が必要な問題という発想が抜けていることだ」と渡辺医師は話す。

 管理者に「落ち込んでいる部下に対し、どう対応するか」と問いかけた場合、「飲みに誘う」、「励ます」、「人事に相談し、環境を変える」といった答えは出てくるものの、「受診をすすめる」との答は少ないという。

 管理者は従業員のメンタルヘルス不調の原因特定のため、産業医の力を借りるなど医療的なアプローチを視野に入れる必要がある。

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最終更新:5/5(土) 19:24
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