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岡山・邑久長島大橋30年の思いを歌に 9日に沢知恵さんコンサート

5/7(月) 23:30配信

山陽新聞デジタル

 二つの国立ハンセン病療養所(長島愛生園、邑久光明園)がある岡山県瀬戸内市・長島と本土を結ぶ邑久長島大橋が9日、架橋30年を迎える。長島では同日、療養所の入所者と親交が深いシンガー・ソングライター沢知恵さん(47)がコンサートを開催。誤った国策で人権を侵害され、架橋を機に「心の解放」を果たした人たちが高齢化し減っていく中、「市民とつながる場にしたい」と意気込んでいる。

 療養所の入所者たちは国の隔離政策により長年、偏見と差別に苦しんできた。邑久長島大橋開通(1988年5月9日)、らい予防法廃止(96年)などを経て社会との交流は広がったが、沢さんは「橋のない時代に自由を求め、本土へ泳ぎ渡ろうとして亡くなったり、連れ戻されたりした人たちの無念を忘れてはならない。尊厳と解放を勝ち取った架橋運動に学ぶことは多い」と言う。

 沢さんは、2014年に千葉県から岡山市に移住。長島の2園との関わりを深め、今回の出演を依頼された。療養所では、大島青松園(高松市)で01年からピアノの弾き語りコンサートを開催。「自分にできることは音楽を介して入所者に思いを寄せ、歴史を伝える人を増やしていくこと」と考えるようになった。

 昨年10月には、青松園以外では初めて松丘保養園(青森市)で演奏し、入所者と市民が楽しむ姿に自らの役割を再認識。全国の他の療養所でも活動する意欲が湧いたという。

 9日は架橋30年の記念式典の後、午前11時から光明園の光明会館で開演予定。無料で入所者や関係者のほか、市民も参加できる。青松園で暮らした詩人塔和子さん、愛生園とゆかりがあった詩人永瀬清子さんにまつわる曲など約10曲を披露する。