ここから本文です

文政権1年 「朝鮮半島の春」引き寄せる=人事混迷などは汚点

5/8(火) 15:00配信

聯合ニュース

【ソウル聯合ニュース】過去政権で積み重なった弊害を正す「積弊清算」と、理念や地域間の対立を解消する「統合」を掲げて国民に選ばれた文在寅(ムン・ジェイン)韓国大統領が、10日に就任1年を迎える。

 朴槿恵(パク・クネ)前大統領を罷免に追い込んだ国民の声を追い風に誕生した文在寅政権のこの1年間は、過去と決別し、新たに生まれ変わろうとする試みの連続だった。

 国民とのコミュニケーションを重視する文大統領のリーダーシップは、権威主義的だった前政権とは明らかに異なり、任期の5分の1が過ぎても国民からの支持はなお高い。世論調査機関の韓国ギャラップが今月初めに発表した文大統領の支持率は83%と、就任1年目としては歴代大統領を大きく上回った。

 文大統領は、韓国国内では正義と公正を名分とした積弊清算を進め、情報機関の国家情報院(国情院)や検察など権力機関に改革のメスを入れた。外交面では、米朝間の鋭い対立で戦争の危機もささやかれた朝鮮半島の安全保障情勢を南北首脳会談で大きく好転させ、史上初の米朝首脳会談の実現へ仲介役を果たした。

 一方で、政権初期から続いた人事の混迷は批判を招いた。また、少数与党での与野党協力が進んでいないことが向こう4年の国政運営における懸念材料となっている。

◇就任1年目で南北首脳会談を実現

 文政権の最大の成果は「朝鮮半島の春」を大きく引き寄せたことだ。現在の南北関係の進展状況は、過去の政権で一時的に進められた南北の和解プロセスとは次元が異なる。

 文大統領は昨年7月、南北関係修復と北朝鮮核問題の平和的な解決を軸とする「ベルリン宣言」を発表したものの、北朝鮮は文大統領の就任のわずか4日後に中距離弾道ミサイルを発射し、9月には6回目の核実験にも踏み切り文政権の対北朝鮮政策に試練をもたらした。

 米朝首脳による言葉の応酬が激しさを増し、一時は朝鮮半島に戦雲が漂ったが、文大統領は軍事演習で北朝鮮への圧力姿勢を示しながらも対話路線を捨てなかった。圧力は北朝鮮を対話のテーブルに引っ張り出すためのものであることも明確にした。

 文大統領は今年2月の平昌冬季五輪を局面転換の契機にしようと北朝鮮の参加を呼び掛け、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党委員長)が「新年の辞」でこれに応えたことで朝鮮半島平和への道が開かれ始めた。

 金委員長の妹の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長と韓国青瓦台(大統領府)の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安保室長(閣僚級)が相互に特使として訪問し、ついに4月27日、およそ11年ぶりとなる南北首脳会談が軍事境界線のある板門店で開かれた。会談では、朝鮮半島の非核化や朝鮮戦争の休戦状態から平和体制への転換などを目標として盛り込んだ「板門店宣言」に南北首脳が署名し、「朝鮮半島の春」に対する人々の期待を高めた。

 文大統領はさらに、非核化問題の当事者である北朝鮮と米国による首脳会談を仲介し、交渉者に加え仲介者としての一面を印象付けた。会談は6月までに開かれる見通しとなっている。

◇積弊清算に拍車 人事巡り批判も

 韓国国内では「国民の国、正義の大韓民国」をキャッチフレーズに積弊清算を加速させ、不正や不条理な慣行が随所にあった過去との決別を宣言して多くの国民の支持を得た。国情院や検察、軍などの権力機関を改革のターゲットとし、前政権が推進した歴史教科書国定化の取りやめ、国民の意見を踏まえての原発政策決定など国民の目線に合った政策を駆使した。

 その延長線で朴槿恵前大統領と李明博(イ・ミョンバク)元大統領が法の裁きを受けることになったが、これを巡り保守層などからは「政治報復」と反発の声も上がった。

 一方で、兵役逃れや不動産投機、脱税などの不正をした人を高官から排除するという文政権の人事原則にそぐわない人が起用されたことは、人事検証がお粗末との批判を招いた。法務部や雇用労働部、中小ベンチャー企業部の最初の長官候補、憲法裁判官候補、金融監督院長らがさまざまな理由で物議を醸し、辞退や辞任に追い込まれた。そのせいで政権初期から政策推進力が低下し、さらには政権の道徳性にも傷がついたと指摘される。

 今年は3年ぶりの3%成長と1人当たり国民総所得(GNI)の3万ドル(約330万円)突破が有力視されるが、文大統領が最優先課題と見なす雇用問題は解決の兆しが見えていない。「災害」レベルの雇用危機により、景況感はなかなか上向かない。

 大統領の権限縮小などを盛り込んだ憲法改正の是非を問う国民投票を、6月の統一地方選と同時に実施するという文大統領の計画が頓挫したことも残念だ。野党の消極的な姿勢で必要な関連法改正が間に合わなかったためだが、文大統領は国政の責任者として野党を説得し切れなかったという指摘は免れない。また、野党側に国政懸案を自ら説明するなど努力したことは事実ながら、野党を政策決定の一つの軸として取り込むことには失敗し、国政の推進力低下を招いたとも言われる。

◇与野党協力が課題に 外交では韓日関係正常化など急務  

 こうした中、これからは本格的な政策推進のため野党との協力に全力を挙げる必要がありそうだ。最大の成果に挙げられる板門店宣言の国会での批准同意問題などが立ちはだかり、国会の協力なくしては国政の円滑な運営に限界がある。

 外交面では、米朝首脳会談で南北首脳会談の成果が受け継がれるよう、仲介者、そして朝鮮半島問題の「運転者」としての役割を引き続き果たしていく必要がある。

 また、旧日本軍の慰安婦問題を巡る朴前政権での韓日合意で一層こじれた韓日関係を正常化し、米最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)」の在韓米軍配備に対する中国の報復を完全に解消することも文政権の急務となっている。

最終更新:5/8(火) 15:06
聯合ニュース