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企業の健康診断にもHIVや梅毒の検査機会を 参加企業未だにゼロ

5/10(木) 7:05配信

BuzzFeed Japan

かつて死の病と恐れられたHIV感染症(※)は、薬の進歩で元気に寿命を全うできる慢性疾患になった。ただし、エイズ発症前に感染を発見し治療を開始することがその後の人生を健康に生きられるか否かの鍵を握る。

厚生労働省は2018年度から、検査で早期発見する機会を広げようと、企業の健康診断にHIVや梅毒の検査を盛り込むモデル事業を始めた。

異性間の性的接触による梅毒の急激な増加を受け、同じ性感染症であるHIVについても、同性間で性行為をする人以外にも検査機会を広げることを狙う。

ところが、古い時代の病のイメージを引きずっているからか抵抗感が強く、参加企業は未だにゼロのままだ。

検査の導入を図る厚生労働研究班の主任研究者で名古屋医療センター・エイズ総合診療部長の横幕能行さんは「貴重な人材に働き続けてもらい、最大限能力を発揮し続けてもらうために、企業は社員の健康管理の一環として参加してほしい」と呼びかけている。【BUzzFeed Japan Medical / 岩永直子】

※ヒト免疫不全ウイルス(エイズウイルス)。ウイルスが体内で増殖し、免疫が落ちることでニューモシスチス肺炎やカポジ肉腫など23の病気を発症した状態をエイズ発症という。日本の2016年の新規感染者は1448人で、うちエイズを発症してわかった人は437人と3割。名古屋医療センターではHIV感染者の約2割は梅毒にも感染している。

国のサポートで企業健診に導入を

横幕さんが率いるモデル事業の概要はこうだ。

参加企業は健康診断の前に、講師派遣など研究班の協力を得て、社員に対しHIVや梅毒についての基礎知識や検査でプライバシーが守られること、検査や結果に関わらず雇用は確保されることを伝える機会を設ける。

そして、健康診断の時に、希望者のみが検査を無料で受けられるようにする。

企業から健診を委託されている健診センターや郵送検査を利用することが考えられているが、検査結果は本人のみに通知されて、会社側に伝えられることはない。例えば、結果は本人が指定したIDやパスワードを入れないと見られないようにする。

検査が本人の不利益につながることがないよう、企業は事前に、

検査を受ける受けないや、結果に関わらず雇用を保証
受ける受けないは本人が決め、結果は本人にのみ通知
社員が求めれば専門医療機関への受診や相談へのアクセスを支援


という3つの方針を明文化しておく。安心して受けてもらうためだ。

厚労省は今年度、この事業を通じて5000人程度に検査を受けてもらうことを想定し、約1400万円の予算を計上した。

横幕さんは、「地域の保健所でのHIV検査はサラリーマンだと時間の制約もあり、地方では知り合いの目も気にしてしまいます。ノンケ(異性愛者)や隠れバイセクシュアルなど啓発が行き届いていない層にも正しい知識を届け、検査のハードルを下げられたら」と事業の狙いを話す。

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最終更新:5/10(木) 7:07
BuzzFeed Japan