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乱伐招く恐れ 「森林経営管理法案」審議へ

5/11(金) 15:20配信

日本農業新聞

「業者任せ」に不安 人材いない行政も

 森林経営管理法案への懸念は、各地に広がる。自伐型林業推進協会は「法が成立すれば、目先の利益のため丸裸にされる山が増える。土砂崩れを誘引し、供給過多で木材価格はさらに安くなる」とみる。

 法案は市町村の役割を強調した上で、伐採業者らに森林経営を任すことを掲げる。一方、市町村に林業の専門家が減り、林業の体系を理解した上で伐採する業者が激減する現実があるという。

 ある県の担当者は「法の理念に期待はあるが、林業専門員は市町村にほとんどいない実態を踏まえると、県が相当負担しないといけなくなる」と不安視する。「林業は担当業務の一部。法案の中身は知らない」と打ち明ける市の担当者もいる。

 さらに、パブリックコメントもなく林政審議会で同庁が一度説明をしただけで国会に提案される、丁寧な議論を欠いた不透明さ、唐突さに違和感を抱く声も複数から上がっている。全国森林組合連合会の肱黒直次専務は「これまで政策立案過程で林野庁から意見聴取されてきたが、今回は意見を聞かれず、中身が分かったのは国会審議直前だった」と明かす。

 一方、林野庁は「森林の管理経営の集積、集約化を推進する必要がある」(企画課)と法の意義を主張している。

愛媛大学の泉英二名誉教授の話 「公共性より経済優先」

 法案は林業構造全体を、公共的な利益から経済性の追求に転換させるものだ。これまでの政策では災害の防止を目的とした間伐に重点が置かれていた。今後はもうけるために大量の木材を供給する主伐を主軸に据える。森林所有者に伐採、造林、保育を義務化した上、実施しない所有者から経営管理権を奪って主伐してしまおうというのは、憲法が保障する財産権や営業の自由を侵害する恐れがあり、強権性が際立っている。

<ことば> 森林経営管理法案

 所有者が管理できていないと市町村が判断した森林は、市町村が業者らに伐採などを委託できる新たな仕組みを導入する。伐採には森林所有者の同意が前提だが、同意が得られない場合も、市町村の勧告や都道府県知事の裁定があれば伐採を可能とする特例もある。衆院は通過し、参院で審議される見通しだ。

日本農業新聞

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最終更新:5/11(金) 15:20
日本農業新聞