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「特別待遇」浮き彫り=面会は加計のみ3回-柳瀬氏答弁〔深層探訪〕

5/12(土) 8:32配信

時事通信

 学校法人「加計学園」獣医学部の愛媛県今治市への新設をめぐる10日の参考人質疑で、柳瀬唯夫元首相秘書官は関係者と面会を重ねていたと明かした。学園の加計孝太郎理事長が安倍晋三首相と親しいことを認識していたとし、国家戦略特区の申請者で面会したのは学園関係者だけとも答弁。学園の学部新設計画が「特別待遇」で進んだことが浮き彫りになった。

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 ◇整合性崩さず
 「(2015年)4月2日だったと思うが、学園関係者と面会した」。柳瀬氏は10日の衆院予算委員会で、首相官邸での面会を初めて認めた。さらに「2月か3月」と4月2日より後の1回ずつを含め計3回、学園側と会ったと説明した。

 首相秘書官が首相官邸で、個別案件の利害関係者と短期間に面会を重ねるのは異例。柳瀬氏も「特区の申請者の中でアポイントの申し入れがあったのはこの件だけ」と語った。13年5月に山梨県鳴沢村にある首相の別荘で加計氏と顔を合わせたと答え、「(首相と)友人関係だろうとは認識していた」と述べた。

 柳瀬氏はこれまで、愛媛県と今治市の担当者との面会について「記憶の限りではお会いしたことはない」と話し、首相の関与を疑う野党に言質を与えずにきた。しかし、今年4月、県作成の文書に、県と市、学園の3者による柳瀬氏への面会記録があることが発覚。関係府省からも面会を裏付ける資料が見つかった。

 こうした状況下で臨んだ参考人招致で柳瀬氏は、国会で過去に質問を受けなかった学園との面会を認めつつ、県と市の担当者については「随行者の中にいたかもしれない」と曖昧に答弁。従来の説明との整合性を重視したとみられるが、特区申請も学園から聞いたと答えたため、野党から「加計ありきそのものだ」と批判を受ける結果となった。

 ◇「受験生に合格答案」
 愛媛県文書に、柳瀬氏が「本件は首相案件」と述べたと記されていることの真偽も焦点だった。柳瀬氏は「普段から『首相』という言葉は使わない。私の発言としては違和感がある」と主張。首相の関与についても「報告したことも指示を受けたことも一切ない」と強調した。

 ただ、「面談で獣医学部新設の解禁は総理が早急に検討していくと述べている案件だという趣旨は紹介した」と言及。社民党の福島瑞穂副党首は参院予算委員会で「事業者に3回会って特区について指南している。試験の監督官が受験生に合格答案を教えるようなもの」と述べ、学園を特別扱いしたと断じた。

 野党側は、首相が17年1月20日に学園の計画を知ったと主張し、柳瀬氏による学園側との面会時期と2年近くずれている点も取り上げた。

 柳瀬氏は「首相に『こういう方と会った』といちいち報告したことはない」と説明したが、首相秘書官の経験がある衆院会派「無所属の会」の江田憲司氏は、「首相に進捗(しんちょく)状況を報告しないのは職務懈怠だ」と指摘。「首相秘書官の常識に反することばかりで驚いている」とも強調した。

 ◇収束見通せず
 「徹底的に事実を解明するという目的はなお果たされていない」。10日の参考人質疑について、自民党の石破茂元幹事長はこう指摘。野党側は「疑惑は深まったというよりも予想以上に深刻な問題だ」(立憲民主党の長妻昭代表代行)と受け止め、引き続き追及する方針で、政権が目指す加計問題の収束は依然として見通せない。

最終更新:5/12(土) 8:56
時事通信