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フェイクニュース時代に「ファクトリサーチTV」が問いかけるもの

2018/5/12(土) 17:05配信

BuzzFeed Japan

「バラエティー班で大丈夫?」

「あいつ今何してる?」などの番組を手がける芦田さんをはじめ、スタッフは軒並みバラエティー畑の人間。社内の報道部門や専門家の協力を得ながら、試行錯誤を続けている。

せいこうさんも当初は「バラエティー班で大丈夫?」と心配していたが、徐々に良い面も現れつつある。

iPhoneの緊急SOS機能で命拾いをした男性を紹介した際には、本人に再現VTRに出演してもらった。バラエティー班ならではの柔軟な発想だ。

考え続けるテレビ

標榜するのは「考え続けるテレビ」。

情報の真偽を検証するという番組の性質上、ともすれば糾弾調・告発調になってもおかしくはないが、いたずらな個人攻撃に走らず、うまくバランスを取っている印象を受ける。

先週放送した「少年法の起源」をめぐる情報の調査では、検証結果を受けて投稿者がツイートを削除。「誤解を招きかねないので、番組と話したうえでツイート削除をいたしました」と報告した。

せいこうさんは「すごくキレイな終わり方。ひとつの理想形ができた」と手応えを語る。

限りなくリアルな口パク動画

第5回目となる5月12日の放送のテーマは、そのものズバリ「フェイクニュース」だ。

シリアで救出された少女をめぐるデマや、AIを使って音声ファイルとオバマ前米大統領の口の動きを同期させる技術を紹介。自身のつくったフェイク画像がTwitterで拡散した、日本の18歳の青年にも直撃取材している。

なかでも衝撃的なのはオバマ氏の口パク動画。あまりに自然で、人間の目でつくりものだと見抜くのは難しい。

こうした技術を悪用すれば、各国の政治指導者に「言ってもいないこと」をしゃべらせて、混乱や紛争の火種をつくることさえできてしまうかもしれない。

せいこうさんは「限りなくリアルなウソの前では『リアルか、リアルじゃないか』みたいな議論は問題にならず、『言い張るか、言い張らないか』になっていく。これはエライことですよ」と話す。

「ウェイト、1ミニット」

そんな時代に、メディアや視聴者はどのようにして情報と向き合うべきなのか。せいこうさんが提案するのが「ウェイト、1ミニット(1分待とうよ)」という言葉だ。

驚くようなニュースに接した時には、一呼吸置く。あわててリツイートやシェアをする前に、1分置いて頭を冷やそう。そんな思いを込めた。

「各局がニュースで一色の時も、テレビ東京はアニメを流してるでしょ。ひょっとしたら『本当かな?』ってフェイクかどうかチェックしてるのかもしれない (笑)」

あくまでたとえ話だが、大勢が雪崩を打って一方向に流されている時ほど、立ち止まって心のなかに「アニメ」を流してみる。それぐらいの冷静さが必要だということだろう。

「違う価値を置く、タメをつくるっていうこと。そういう意味でいうと、『ファクトリサーチTV』は『テレ朝内テレ東』的なところがありますよ」とせいこうさんは笑う。

「ネットの速報性に比べると、テレビはトロい。でもトロいからこそ、できることがある。こういう取り組みがもっと広がっていってほしい。そこで初めて、ネット以降のテレビの立ち位置が決まると思っています」

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最終更新:2018/5/12(土) 17:05
BuzzFeed Japan

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