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【武藤敬司、さよならムーンサルトプレス〈最終回〉プロレスとは人間力…新たな伝説の始まり】

5/12(土) 11:50配信

スポーツ報知

◆両膝の人工関節手術

 武藤敬司は、今年3月30日、都内の病院で両膝の人工関節置手術を行った。これからもプロレスを続けるための決断だった。そして、ムーンサルトプレスへ「さよなら」を告げた。

【写真】10・9、伝説の足4の字固め

 「今は、昔の信用だけでやっている。進化していることは何ひとつないよ。その中でもムーンサルトはお客様の信用を勝ち取った技だった。言えることは、どっかしらムーンサルトプレスってはかないんだよ。膝が悪いってお客様も分かっているから、若干、見ている側もそんなはかなさも感じたりとかね。そうなると気持ちが食い込んでくる。ここ数年はそんな思いを感じていたよ」

 デビューからわずか1年での海外遠征。スペース・ローンウルフ時代の苦闘。グレート・ムタで全米を席巻したWCW。鮮烈な凱旋帰国。高田延彦との伝説マッチ。空前のブームを作ったnWo。スキンヘッドへの変貌。全日本プロレス…。そして、今。武藤が残したすべての作品にムーンサルトプレスがあった。

 「ムーンサルトプレスがあるから自分がある。まさしくそう思う。最初から4の字固めとシャイニングウィザードだったらプロレスラーとしてここまで来なかった」

◆「飛べなくなってからが面白い」

 一方でムーンサルトプレスの代償で膝は、日常生活にも支障を来すほど壊れてしまった。55歳の今、歩く時は杖が必要なのが現実だ。

 「自宅では家族みんなに助けてもらいながら暮らしていますよ。家は3階建てなんだけど、もう3階も2階もいったことないよ(笑い)。外出する時は、空港は楽でいいんだ。ハンデキャップの設備が充実しているから車いすがある。大変なのは東京駅。ホームまで長いからね。一生懸命歩いていますよ」

 現在、55歳。気がつけば師匠アントニオ猪木が引退した時の年齢に達した。もはや華麗に飛ぶことはできない。ただ、だからこそ醸し出す味わいがあるという。

 「今、オカダ(カズチカ)が、ドロップキックとかやっているけど、レスラーって飛べなくなってからが面白いんだよ。ごまかしが面白ぇんだ。どうごまかすかっていうね。飛べなくなってくると味が出てくるんだよ。ただ、言えることは、その味を出すまでには、お客さんにそこまでの信用を得ないといけないんだけどね」

 武藤が図らずも口にした「ごまかし」。それは、数々の記憶を観客に刻み込んできた者だけが許される匠の技だろう。「ごまかし」とは、武藤だけが言えるプライドの表れだ。

 「プロレスって難しいよ。これだけは教えられるものじゃない。今まで後輩を何人も育てたし、誰にでも一定の所まで教えたけど、最終的にはその人が持っている人間力なんだよ」

 そして、こう言った。

 「もし、膝さえ良かったら、例えば世界中のどこかプロレスの予備知識がないまったくない場所へ行ってね、そこで、プロレスやった時、そこにいる人たちに“誰だ!こいつは”って言わせる自信は今でも一番あるよ。“なんだ、こいつは!”ってね。そういう能力は若い頃から長けていたからね」

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最終更新:5/12(土) 11:50
スポーツ報知