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<ジャパンライフ>全財産投資の顧客「どう生きていけば」

5/13(日) 9:30配信

毎日新聞

 磁気健康グッズの預託商法を展開していた「ジャパンライフ」(東京都千代田区)を巡り、愛知県警など警察当局は、預託法違反や詐欺などの容疑を視野に情報収集を進めている。顧客救済に取り組む弁護士は「経営者らの個人財産散逸を防ぐためにも、早く強制捜査に乗り出してほしい」と訴える。【斎川瞳】

■被害の実態

 「だまし続けた経営者も、勧誘した知人も、みんな刑務所に入ってほしい」。娘とともにジャパンライフに計1000万円を振り込んだ愛知県内の70代女性はそう憤った。

 2年半前、知人女性から「無料でエステができる」と同社の事務所に誘われた。「絶対に潰れない」「元本保証で配当は倍返し」と何度も勧誘され、定期預金を解約して計600万円を投資した。娘にも400万円投資させ、計140万円弱の配当を得たものの、元本は返ってこない。

 70代の祖母と一緒に総額9200万円を投資した愛知県内の30代女性も配当は当初だけで、元本は戻らない。「全財産を失い、どうやって生きていけばいいのか分からない」と声を震わせる。月4万円の年金収入しかない祖母は生活が成り立たず、生活保護の受給申請を検討している。

■事実上倒産

 ジャパンライフは37都道府県の計約80カ所に事務所を展開した。無料エステなどをうたって高齢者を中心に客を集め、高額磁気グッズを購入して別の客に貸与したり宣伝したりする「レンタルオーナー」になれば、購入価格の6%の配当金が毎年得られると勧誘していた。同社によると、顧客は6855人(昨年7月)、預託残高は1843億円(同3月)に上る。

 これに対し消費者庁は、預託された商品の1割程度しか実際に貸し出されていないなどの状況をつかみ、2016年12月以降、度々一部業務停止命令を出した。昨年12月には解約妨害などで4回目の行政処分をした。

 資金繰りに窮した同社は昨年12月26日に銀行取引停止処分となって事実上倒産した。調査会社の東京商工リサーチによると、負債総額は2405億円(昨年3月末)。東京地裁は今年3月、顧客側の申し立てを受け破産手続き開始を決定した。

■責任の追及

 ジャパンライフに返金を求める顧客が続出し、各地で被害対策弁護団が結成された。4月26日には愛知、岐阜、長野3県の顧客15人が、同社の会長や顧問らに計約1億4380万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴した。一方で弁護士らは警察庁や警視庁、愛知県警などに被害を相談しており、警察当局は捜査に乗り出すかどうか検討している。

 被害救済に当たる弁護士によると、同社関係者とみられる人物が、顧客に個別接触する動きが確認されている。購入者に対し同社に預けた磁気商品を引き取るよう求めたり、商品が手元にある人に引き渡しを求めたりしているという。

 被害対策中部弁護団の杉浦英樹団長は「関係者が新たな詐欺的行為を働き、さらなる被害が発生する可能性がある」と警戒する。

 「倒産なんてあり得ない。会長も私も、逃げも隠れもしない」。今年1月中旬、同社幹部は毎日新聞の取材に言い切った。事業の違法性を指摘されていると尋ねたら「高齢者のために頑張っているのに、国によるいじめ。被害者なんていないので警察も捜査しようがない」と強調した。

 この幹部とは2月以降、一切、連絡が取れなくなっている。

 ◇後絶たぬ悪質商法

 消費者の心理につけ込み、多額の現金を支払わせる悪質商法は後を絶たない。1980年代、運用実態のない「金」の預託商法で全国の約3万人から総額約2000億円を集めた豊田商事事件は当時、戦後最大の詐欺事件として社会問題化した。この事件を契機に預託法が施行された。

 和牛オーナー商法を展開し、2011年に経営破綻した安愚楽牧場の事件は、被害者約7万3000人、被害総額約4200億円に上り、豊田商事事件を上回る史上最大の消費者事件となった。

最終更新:5/13(日) 10:43
毎日新聞