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レビュー:耳穴を塞がない完全分離イヤホン、ソニーXperia Ear Duoが斬新

5/14(月) 17:07配信

Stereo Sound ONLINE

 今回は、巷で評判の、ソニーモバイルコミュニケーションズのオープンイヤーBluetoothイヤホン「Xperia Ear Duo」(XEA20)をレビューしてみたい。外音を聞きながら自分だけのBGMを楽しめる「デュアルリスニング」を実現する、左右完全独立タイプのBluetoothイヤホンだ。

【画像】装着方法などをわかりやすく解説

 価格はオープンとなり、ソニー直販サイトで2万9980円(税別、2018年5月時点)。耳の穴に突っ込むカナル型イヤホンとは一線を画す本機。その音質と使い心地を中心にレポートしたい。

【Xperia Ear Duo(XEA20)】
オープン価格(直販価格2万9980円税別)


■スマート機能が充実した最先端デバイス

 本機は、オーディオビジュアル製品を手掛けるソニーではなく、スマートフォン「Xperia」を展開するソニーモバイルコミュニケーションが扱う。同社は2016年より「スマホの次世代を担うスマートプロダクト」を標榜する、「Xperia Smart Products」ブランドをスタートしており、Xperia Ear Duoはその最新モデルだ。

 最大の特徴は、耳穴を塞がないオープンイヤータイプとなっていること。つまり、外音を遮断しないまま、音楽も楽しめる。よって、当然ノイズキャンセル機能は搭載しない。

 装着スタイルも独創的で、本体部に10mm径のダイナミック型ドライバーを1基搭載しており、音導伝わってサウンドが耳に届けられる。この音導管で耳を挟み込むよう、耳たぶの下から上にスライドさせて本体を装着する。

 ソニーのロゴが書かれた平面部分がタッチセンサーとなっており、ここに触れて各種機能を操作する。また、同一面にLEDランプを搭載し、ペアリングや充電状況などの確認が可能だ。

 充電は、完全ワイヤレスBluetoothイヤホンでは一般的となっている付属のバッテリー内蔵ケースにセットして行なう。連続再生時間は約4時間で、バッテリー内蔵ケースがフル充電されていれば、本機3回分の充電が可能。急速充電にも対応し、約7分間の充電で約1時間再生できる。

 Bluetoothの対応コーデックは、SBCおよびAACとなる。

 Xperia Smart Productsだけあり、“スマート機能”と称する様々な機能を有する。

 音声での問いかけに加えて、うなずきなどのヘッドジェスチャーによるハンズフリー操作により、接続したスマートフォンの通話やLINE等のメッセージ送信、そして音楽再生などが可能となる「アシスタント機能」に加えて、ユーザの状況認識に合わせた情報を届ける「デイリーアシスト機能」を搭載する。

 また、4つのマイクで音声認識や通話品質を向上する「クアッドビームフォーミングマイク」、ソニーのウォークマンでもお馴染みの音響補正技術「Clear Phase」、周囲の環境に合わせて自動音量調節する「アダプティブボリュームコントロール」も装備している。

 できれば、これら機能を全て試したいところだが、今回は、多くの方が気になっているだろう、音と装着感の評価を中心に行なった。


■きめ細かい中高域でヴォーカルが気持ちよい

 早速装着を試みる。筆者にとっては、なかなかコツがいるとともに、当然ながら装着や取り外しは通常のイヤホンに比べて少々手間が掛かった。耳の形によって多少の差はあるが、私の場合は耳たぶを引っ張りながら、下から上へと本体を持ち上げることで上手く装着できた。

 装着感としては、耳を挟んで保持しているため、イヤホンを装着しているというより、イヤホンに耳を挟まれている、という感覚に近い。タッチセンサーは感度が良いが、音量を上げ下げするスライドジェスチャー時に、一時停止と認識されてしまうこともあり、この辺りは若干の慣れが必要かもしれない。

 試聴に使ったのは、Bill Charlap Trioの『Notes From New York』(96kHz/24bit WAV)と、ステレオサウンドから発売されている大橋純子の『シルエット・ロマンス(マスターCD-R)』(CDから44.1kHz/16bit、WAVにリッピング)。

 シルエット・ロマンスは、ステレオサウンドのフラット・トランスファーシリーズの1枚で、アナログマスターテープに録音された作品をテープからダイレクトにデジタル化している。CDとは思えない鮮度の高いサウンドが魅力の1枚だ。1981年録音のオリジナルと2014年の再録バージョンが収録されており、若々しい前者と深みを増した後者の歌声の違いが実に精細に描き出され、歌い手が重ねてきた魅力までをも存分に味わえる作品だ。

 音質的には、ソニーらしい、キメ細やかで質感の良い中高域再生を持っており、大橋純子の歌声やストリングス、そしてピアノやギターといった演奏フレーズをともに丁寧に描写する。加えて、中低域から下の帯域は、潔くすっぱりとロールオフしている。

 よって、どのようなソースを再生しても、BGMとして軽やかに鳴らされる。その点で、まさに“自分だけのBGMを身に纏う”というコンセプトにピッタリのサウンドなのである。

 同時に、本機最大の特徴である、音楽を聴きながらにして外部の音を聞いて会話が行なえる「デュアルリスニング」が、高次元で実現されている。室内をはじめ屋外、そして電車内でも使用してみたが、いずれの状況でも、外音とBGM両方を明瞭に聴き取ることが出来た。

 実際に使用し、音質面で実感したのは、低域成分がほとんど再生されないため、ソースの高域成分が幾分目立って、やや聴き疲れしやすいということだ。また、音量設定によっては、電車内などでは音漏れも少々気になってしまう。さらに当然のことながら、音楽にきちんと向き合って聴き込むという用途には適さない。

 中でも快適な使用感を得られたのが、映画やアニメーションなどの映像コンテンツの視聴時だった。声の帯域がキメ細やかで聴き取りやすいので、セリフが中心となるコンテンツの視聴にも非常にフィットするイヤホンと感じた。


【この製品を生形三郎がジャッジ】

 本機は、屋内外で外音を聴きながら耳元で“うっすら”とBGMを流しておきたい人に最適なイヤホンだ。特に、ジョギングやトレーニング時など、スポーツにも最適と言えそうだ(ただし、防水には非対応なので注意)。

 また、映像コンテンツを中心に、ストレスの少ない音でイヤホンを用いたい人にもオススメ。価格に対する意見は分かれそうなものの、新発想なイヤホンとして実に面白い存在である。オープンタイプイヤホンの今後の展開も楽しみだ。


【生形三郎(うぶかたさぶろう)】
作曲家、音楽家、録音エンジニア、オーディオ評論家、東京電機大学理工学部講師。東京藝術大学大学院修了。音楽家の視点を活かした、独自の録音制作およびオーディオ評論活動を展開している。「オーディオ=録音⇔再生」に関する、多角的な創造・普及活動に取り組む。自宅アトリエでは、自作の4ウェイおよびフルレンジをメインスピーカーに据えるこだわり派。

Stereo Sound ONLINE / 生形三郎

最終更新:5/14(月) 17:07
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