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【佐藤優徹底解説:激動する北朝鮮問題】安倍外交はなぜ負けたのか

5/15(火) 12:11配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

北朝鮮情勢が急展開を見せている。4月の南北首脳会談に始まり、北朝鮮が拘束していた3人のアメリカ人の解放。そして6月12日にはトランプ大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の会談がシンガポールで開かれることも明らかになった。

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なぜ金正恩氏は突然対話路線に転じたのか。「非核化」はどこまで現実的なのか。トランプ大統領の真の狙いは……。作家で元外務省主席分析官の佐藤優氏に徹底解説してもらう。1回目は、一連の北朝鮮問題の中で、全く存在感のない日本外交について。

「対話と妥協の中韓」に押し込まれた日本

浜田敬子BIJ統括編集長(以下、浜田): 5月8日に開かれた日中韓首脳会談ですが、佐藤さんはどうご覧になりましたか?

佐藤優さん(以下、佐藤):日本と中韓の温度差がはっきりしました。今回の議長は安倍晋三首相が務めたのですが、日本は十分なイニシアティブを発揮することができませんでした。

“安倍首相は、発言の多くを北朝鮮問題に割いた。「現在生まれている朝鮮半島の完全な非核化と北東アジアの平和安定に向けた機運を国際社会と一層協力し、北朝鮮の具体的な行動につなげていかなくてはならない」と強調。3首脳が国連安全保障理事会の制裁決議の完全な履行で一致したと説明した。
ただ、これまで繰り返していた「完全かつ検証可能で不可逆的な核廃棄」との表現は使わず、南北首脳会談で署名された板門店宣言の「完全な非核化」との表現に合わせた。(5月9日「朝日新聞デジタル」)”

対北朝鮮政策について「対話と妥協」を追求する中国と韓国によって、「圧力と制裁」を強調する日本が、押し込まれたというのが実態と思います。今回の日中韓首脳会談で日本の外交力低下が可視化されました。

浜田:日中韓会談前日の朝日新聞には李克強中国首相の寄稿が、一方、読売新聞には文在寅韓国大統領の書面インタビューが掲載されました。

佐藤:日本のメディアを通じて海外の首脳が非常に強力なシグナルを出したということは非常に珍しいことです。このようにメディアを使うのは首脳間の信頼レベルが低い時ですね。

浜田:安倍政権の信頼レベルが下がっているということなのか、外交ルートが機能していないということなんでしょうか?

佐藤:十分に機能していないと思います。今の北朝鮮を巡っては中国と韓国は「メジャーリーグ」、日本は「マイナーリーグ」です。つまり日中韓首脳会談は事実上、中韓首脳会談です。2(中韓)プラス1(日)。日本は対等の立場ではない。中韓は、安倍さんが言うことをテークノートするだけで実質的なことは何も決まらなかったのでしょう。

浜田:朝日、読売を通じて、中国も韓国もそれぞれ日韓、日中の関係改善についても言及してましたが、日中韓の会談を終えても、何ら前進はないようでした。

佐藤:韓国の慰安婦問題、中国の尖閣問題をそれぞれが譲歩できると思いますか。個別イシューで見れば、中国、韓国とも譲歩できるものは何一つない。こういう時に使われやすいのが文化です。「文化交流を強化」するという言葉が出てきたら、政治経済では何もできないということです。

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最終更新:5/15(火) 13:48
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