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猫たちからの「ありがとう」がいっぱい 『猫だって…。』 猫本担当がオススメ

5/15(火) 16:36配信

sippo

『猫だって…。』 佐竹茉莉子著/辰巳出版

「ねぇねぇ、アタシの話、聞いて!」「おいらはね…」「ボクはね…」。保護され、今は幸せに暮らしている猫たちが、これまでの猫生を振り返りながら、自分の言葉で語るこちらの1冊。「今、とても幸せに暮らしているから、アタシのこれまでのことを知って欲しいの」。ストーリーを読み進めてみると、想像以上に過酷な過去を乗り越えた彼らがそこにいました。

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 エピソード1に登場するおしゃべり好きな白猫の「モコちゃん」。マサキお兄ちゃんと運命の出会いを果たし、保護された当時はガリガリに痩せていただけではなく、あばら骨が折れ、肺に穴が開いた状態でした。

「さまよってた日々、木から落ちたこともあったし、通行人に足蹴にされることもあったから、いつからそうだったのかわからない。カエルにしか寄生しない虫もいて、危なかったみたい。お兄ちゃんに声をかけてもらわなかったら、アタシ、道ばたで死んでた。」

 大変な状況だったにも関わらず、お兄ちゃんに初めて声を掛けてもらった時、必死に肩までよじ登ったことや、ご飯をもらってガツガツ食べたこと。普段なら、保護する立場で見えてくる光景も、この本の中では、声を掛けてくれた人を見上げる光景が見えてきます。

「助けて」「待ってる」「ありがとう」…絶望感や、喜びや希望も、モコちゃんと共に感じることができ、保護してくれたマサキお兄ちゃんには感謝の気持ちが湧きあがります。

お兄ちゃんの願い

 この本に出てくる22の物語には、モコちゃんのように衰弱しているところを保護された子もいれば、人の願いを叶えるために新しい家族になった猫も出てきます。

 エピソード16に登場するハチワレ猫の「しずかちゃん」は、「猫を飼いたい」という病気のお兄ちゃんの願いで家族の一員なりました。

 若くして病気を抱えたお兄ちゃんは、仔猫のしずかちゃんを小さな妹ができたようにかわいがり、ある約束を彼女に託して旅立ちます。

「あの日から15年。わたしは19歳のおばあちゃん猫になったけど、ふっくら体型でまだまだ元気。お父さんもお母さんも元気に穏やかに暮らしているよ。写真立ての中のお兄ちゃんも、いつまでも若くて笑顔のままだね。お兄ちゃん、わたし、知ってるよ。お兄ちゃんが「猫を飼いたい」って言ったのは、わがままじゃなかったってことを……」

 しずかちゃんが語った、お兄ちゃんと交わした約束。しずかちゃんは猫の姿で、お兄ちゃんの願いを叶え、約束を守り、家族を守り続けています。

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最終更新:5/15(火) 16:36
sippo