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河川で安全、電子遊漁券広がる ウエアラブル端末で監視

5/15(火) 16:46配信

福井新聞ONLINE

 電子遊漁券販売システム提供のフィッシュパス(本社福井県坂井市丸岡町熊堂)が考案した、インターネット上で河川の遊漁券を24時間購入できる社名と同じサービスが好調だ。本格販売開始1年余りで福井県内外の8内水面漁協が導入した。漁協の収入増だけでなく、衛星利用測位システム(GPS)との連動によって、釣り客の監視業務効率化、防災などの効果も見込む。河川の環境改善、地域経済の活性化につながるとして、国も熱い視線を注いでいる。

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 「地元の川や漁協を何とかしたい」。同市丸岡町竹田地区の川魚の減少や漁協の苦境を知った西村成弘社長(42)は、2015年に福井県立大大学院に通い始め、内水面を起点にしたビジネスとしてフィッシュパスのサービスを考案。17年3月に販売を始めた。

 発売後すぐに導入した竹田川漁協では、17年3~9月の遊漁券販売収入が前年比で1・5倍に増加。近年、右肩下がりだった実績が上昇に転じた。釣り客は専用アプリでいつでも遊漁券を購入でき、廣瀬哲夫組合長は「早朝から釣りをしようとする人が、販売する店が開いていないために買えなかった問題が解消できたのが大きい」と話す。実際、フィッシュパスでの購入者の85%が夜間から早朝にかけて利用していた。

 GPSにより、漁協は購入者の釣り中の位置情報を端末で確認できる。未購入者を見つけやすくなるなど監視業務の負担が大きく減った。河川の水位情報も分かるため、急な増水時の安否確認にも活用できる。

 同社のサービスに関心を示す企業も続々と現れている。損害保険ジャパン日本興亜は今月、傷害保険「フィッシュパス保険」を専用サイト内に導入した。セイコーエプソンが開発した眼鏡型のウエアラブル端末を監視業務に使う実験も進めている。

 国も注目しており、内水面漁業振興に役立つとして、17年度の水産白書で取り組みが取り上げられる予定だ。情報通信技術(ICT)を活用した課題解決事例が対象となる総務省の「ICT地域活性化大賞2017」でも優秀賞に選ばれた。全国の漁協からは続々と問い合わせがあり、静岡県の狩野川漁協も今月に導入した。同社は、導入する漁協数を今後1年で一気に100まで伸ばす計画だ。

 西村社長によると、国内約830の内水面漁協のうち45%が赤字で、組合員の減少や高齢化といった問題も抱える。フィッシュパスサービスでは遊漁券の販売だけでなく、インターネットサイトへの飲食店などの広告掲載料も漁協にもたらされる仕組み。収入が増えることで稚魚の放流といった環境改善に資金を充てられるようになる。これによって魚が増え、釣り人口の増加にもつなげる狙いだ。

 西村社長は「釣り客を周辺の宿泊施設、飲食店などに誘導することで地域経済を潤すこともできる」と話している。

福井新聞社

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