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FGT暗礁、北陸線特急どうなる 新幹線敦賀乗り換えで温度差

5/15(火) 18:40配信

福井新聞ONLINE

 新幹線と在来線を直通運転できるフリーゲージトレイン(軌間可変電車、FGT)が暗礁に乗り上げている。3月30日、九州新幹線長崎ルートへの導入について与党検討委員会は費用対効果の観点で「事実上困難」と判断した。九州の計画が頓挫すれば、2番手となるはずだった北陸新幹線への導入に「待った」が掛かることになる。関西方面からの直通運転を期待していた福井県内からは「代替策として特急存続に舵(かじ)を切るべきだ」(ベテラン県議)との声が一層強まっている。

JR福井駅の恐竜、東口に移設を

 長崎ルートの計画は、レール幅の異なるフル規格と在来線を走るため、FGT車両が欠かせない。だが開発が難航し、耐久性確認試験は14年11月から中断したままとなっている。運行主体のJR九州の青柳俊彦社長は、製造・維持コストが通常車両より割高になる点を踏まえ、昨年7月に「導入は困難」と表明した。

 与党検討委は、佐賀県内を走る在来線区間の新鳥栖―武雄温泉間の整備手法を▽FGT▽ミニ新幹線▽フル規格―の3方式から再選定し、今夏にも方式を決める予定だが、FGTは3月末の会合で早々と脱落した格好になった。青柳社長は4月の検討委で「全線フル規格で検討していただきたい」とだめ押しした。

 こうした状況に、福井県の幹部は「FGT導入が北陸もゼロに近づいている。ただ断念になるとさまざまな課題が生じる」と表情を曇らせる。中でも成り行きが注目されるのが、FGTの代替策となる並行在来線の特急存続だ。

 敦賀開業後、JRが並行在来線として経営分離する北陸線の特急は原則廃止される。福井県議会は昨年3月、FGTの断念時には福井駅以南の特急存続を国に求める意見書を可決した。敦賀駅で新幹線と特急の乗り換えが生じるため、新幹線福井駅や南越駅(仮称)方面からの乗客や、大阪方面からの利用者は、新幹線の時間短縮効果がほとんどなくなるというのがその理由だ。新幹線駅のない鯖江市の牧野百男市長は4月の記者会見で「オール福井で取り組んでいく土俵づくりを鯖江から開拓したい」と語った。
 
 だが「県内自治体の間には温度差がある」と県関係者。敦賀市が敦賀駅の乗り換え利便性確保に努力してきたことなどを引き合いに「それなのに不便と冷や水を浴びせるのはどうなのか。特急存続をプッシュするのはかなり難しい」と頭を悩ませる。

 別の懸念もある。特急と新幹線で乗客を奪い合えば、新幹線の建設財源となる新幹線収支が悪化する可能性がある。「もろ刃の剣。JRが首を縦に振るとは思えない」と県関係者は指摘する。

 西川一誠福井県知事は、4月26日の定例会見で「最善の策を講じたい」と慎重に言葉を選んだ。県幹部は「何より敦賀―新大阪間をフル規格で一日も早くつなぐのが本筋だ。FGT計画が白紙になったら、敦賀以西の認可と新規着工を早める運動をさらに強化する」と力を込めた。

 *フリーゲージトレインとは*

 線路に設置した軌間変換装置を通過することで、車輪の間隔を変えられる車両。レール幅が違う新幹線と在来線を直通運転できる。計画では九州新幹線長崎ルートの博多―新鳥栖(佐賀県)を九州新幹線と共用。新鳥栖-武雄温泉(佐賀県)は在来線区間を活用し、武雄温泉-長崎は新幹線区間を走る。北陸新幹線では敦賀開業後、全線開業まで富山-敦賀は新幹線区間、敦賀-大阪は北陸線・湖西線区間の走行が検討されている。約500億円の開発費が投じられたが、実用化に向けた耐久走行試験は車軸付近の摩耗などが見つかり、休止したままとなっている。

福井新聞社