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【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】全米女子オープン最終予選で見えてきたもの

5/16(水) 17:26配信

ゴルフ情報ALBA.Net

川岸史果をはじめとする4人が8日、茨城県の大利根CCで行われた全米女子オープン日本最終予選を突破し、本戦(現地時間5月31日~6月3日、米国アラバマ州・ショールクリーク)出場権を獲得した。川岸は昨年に続く2度目の出場となり、予選2位の蛭田みな美、3位の高山佳小里、4位の香妻琴乃はいずれも初出場。大舞台で何をつかんで帰って来るかが楽しみだ。

【写真】香妻琴乃らが本戦出場を決めた全米女子OP予選フォト

その一方で気になるのは、日本でのこの予選に対する興味の薄さだ。出場人数によって変動はするが、今年の本戦切符は4枚もあったのに、出場したのはわずかに68人。本戦に出られるかどうかも分からないのに、わざわざ渡米して米国での予選に挑戦するという話ではない。前の週、プロの試合があった場所から遠くないコースで(ここはUSGAとJGAが便宜を図り、選手の都合に合わせてくれている)挑めるというのに、だ。

全米ゴルフ協会(USGA)主催の同大会の出場資格は「プロ及び、ハンディキャップインデックス2.4以下のアマチュア」というもの。つまり、女子のトップゴルファーすべてに門戸が開かれている。36ホールストロークプレーと、肉体的にはきついかもしれないが、悪天候でもない限り1日で終わる。つまり、挑戦しやすいようにできている。それなのに、たった68人しかその舞台に立とうともしないなんて、もったいないことこの上ない。

最終予選の前に地区予選があり、そこからの参加者を合わせると毎年、1万人前後になる男子の「全米オープン」には及ばない。だが、それでも今年も1592人の腕に覚えがある女子ゴルファーたちが、予選から大一番に挑んでいる。それを考えれば、日本の最終予選にこれしか出ないのは寂しい限りではないか。

世界中のより多くのゴルファーが参加できるようにと、USGAが予選を海外で行い始めたのは2014年からのこと(全米オープンは2005年から)。それまでは、予選といえども米国まで行かねばならず、日程的にも経済的にも海外の選手にはハードルが高かった。だが、現在、25か所で行われている女子オープン最終予選のうち4会場が米国以外。日本、韓国、中国、イングランドとなっている。つまり、現在の日本のトップゴルファーたちは恵まれている。そのことがどれだけ分かっているのだろうか。

男子も女子も、現地米国でオープン最終予選を取材したことがある。そこで改めて実感したのは、ナショナルオープンに対する選手たちの強い気持ちだ。男子の場合、メジャー優勝経験者でオープン出場資格を失った者たちが、必死でプレーを続ける。少ない本戦切符を争うため、日没直前まで文字どおりサドンデスのプレーオフを行うことも多い。必死でプレーする彼らの姿に感動すら覚えたものだ。

女子でそこまでの光景は見られなかったが、それでも、今年の最年長エントリーは62歳のローラ・ボー(米国)。かつてのアイドルプレーヤーが、予選から挑んでいる。09年全英女子オープン優勝のカトリーナ・マシュー(スコットランド)の名もある。それほど、全米女子オープンに出場したい気持ちの強い選手は多い。

昨年の日本女子ツアー賞金ランクトップ5は本戦出場権を持っているため、予選に出る必要はない。だが、それ以外はみな、挑んでもいいくらいの試合、それが全米女子オープンなのではないだろうか。当然日本ツアーのトップクラスの選手も出場はしているが、寂しい限りだ。

ゴルフは基本的には個人競技。出場する試合も、試合に対する姿勢も、それぞれが自分で決めればいいものだ。日本女子ツアーはシーズン中ほとんど毎週、試合があり、今年からリランキング制度も始まっている。自分のホームツアーを大切にするのは悪いことではないが、だからといって、それを理由に、より厳しく大きな舞台への挑戦権すらつかもうとしないのは、アスリートとして自ら限界をつくり出しているようなものだ。

「世界基準」を高らかにうたい、それを目指している日本ツアーが、あまりに恵まれてしまったため、そこに安住する選手が増えてはいないだろうか。将来が心配になって来る。(文・小川淳子)

(撮影:標英俊)<ゴルフ情報ALBA.Net>