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1歳男児衰弱死 「相談あれば」「虐待とは…」 親族や近隣住民ら無念 埼玉

5/17(木) 7:55配信

産経新聞

 桶川市東の自宅マンションで当時1歳1カ月だった山辺晴(はると)ちゃんが衰弱死した。県警は十分な食事を与えず放置したとして父親の山辺拳士郎容疑者(25)と妻の仁美容疑者(25)を保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕し、育児放棄の可能性があるとみて捜査している。生後まもない幼い命。なぜ救えなかったのか-。

 「子供が冷たくなっている」。昨年10月9日午後10時20分ごろ、山辺容疑者から119番通報があった。駆け付けた上尾署員らは晴ちゃんが布団の上で死亡しているのを確認、極度にやせ細っている状態だった。桶川市によると、保健師が自宅を訪問したが、面会を拒まれ、晴ちゃんの様子をうかがうことはできなかったという。

 山辺容疑者の会社の上司は「まじめな性格で子供を大事にしていた。信じがたい」とこぼす。一方、仁美容疑者の父(55)の受け止めは違う。「仁美はぜんそくを患うなど病弱で、3人の子育てで常に無理をしていた。旦那(山辺容疑者)は子育てに無関心だったし、桶川市に助けを求めても十分な対応をしてくれなかった」と憤る。その上で「一言でも相談してくれていれば…」と顔をゆがめた。

 同じマンションに住む主婦(26)は「夜間、子供の叫び声を何度も聞いた。10月に警察から事情聴取されてたが、まさか虐待とは気付かなかった」と語った。(飯嶋彩希、竹之内秀介)

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 ◆昨年のネグレクト通告1107人 217人増で過去最多

 県警が昨年1年間、育児放棄などによる「ネグレクト」で児童相談所に通告した18歳未満の子供は1107人(前年比217人増)で過去最多だった。桶川市の1歳児の衰弱死事件では、同市の家庭訪問で長男や次男が健康な状態だったことなどから、三男の異変に気付かず、家庭内の虐待を事前に察知する難しさが改めて浮き彫りになった。

 県警によると、昨年1年間で児童相談所に通告した18歳未満の子供は、前年比1499人(23・1%増)の7980人。うちネグレクトは13・9%だが、年々増え続けているという。

 今回の事件では、桶川市の保健師らが自宅を訪問したが、長男や次男が健康で家庭の環境も悪くなかったように映り、結果的に三男の異変を見逃した。市の担当課は「こんな事件が再びないよう検証し、今後の対応を考えたい」としている。

最終更新:5/17(木) 7:55
産経新聞