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iPS心臓病治療、幕開け 阪大が世界初の臨床 年度内に心筋移植、厚労省了承

5/17(木) 7:55配信

産経新聞

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作ったシート状の心筋を重症の心不全患者の心臓に移植する大阪大の臨床研究について、厚生労働省の部会は16日、計画の実施を了承した。同大によるとiPS細胞を使った心臓病の臨床研究は世界初で、今年度中に移植手術を行う。

 iPS細胞を使った臨床研究は、理化学研究所などによる重い目の病気に続く了承。今回は日本人の死因でがんに次いで多い心臓病が対象で、本格的な臨床応用の第一歩となる。同省の部会は、実施計画の文言を一部修正する条件付きで認めた。

 臨床研究は虚血性心筋症という心不全の患者3人が対象。心臓の血管が詰まって心筋が壊死(えし)し、血液を送る力が衰える病気で、重くなると死に至る。心不全は特効薬がなく、高齢者を中心に患者が増加している。

 計画では、拒絶反応が起きにくい免疫タイプの健常者の血液から京都大が作製、備蓄しているiPS細胞を使用。これを大阪大の澤芳樹教授(心臓血管外科)らのチームが心筋細胞に分化させ、直径数センチ、厚さ約0.1ミリの円形シートに加工し、2枚を患者の心臓に移植して貼り付ける。

 心筋シートは血管の形成を促進する特殊なタンパク質を分泌。これにより血流が回復し、傷んだ心筋を再生させる。シートは自然に拍動し、心臓の拍動を強める働きもあるという。

 移植から1年間、経過を観察し、治療効果やがん化の有無などの安全性を確かめる。

 患者は投薬の効果が低く、放置すれば補助人工心臓や心臓移植が必要になる重症者が対象。実施計画は3月に学内審査で了承され、先月の同省の審査で結論が持ち越されていた。

 チームは患者自身の太ももから筋肉の細胞を採取してシートを作り、心臓に移植する治療法を研究してきたが、心筋とは異なる種類の筋肉のため、重症患者ではうまく機能しなかった。

 心不全は息切れやむくみが起き、徐々に悪化する。国内患者数は100万人を超えており、平成32年に120万人に達すると予測されている。

最終更新:5/17(木) 7:55
産経新聞